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「英語」の本と言うより、暇な時に読む「映画教養書」といった感じか。

使ってみたい映画の英語.jpg 『使ってみたい映画の英語 男の名セリフを味わう

 「風と共に去りぬ」「カサブランカ」から「ラスト サムライ」「スクール・オブ・ロック」まで、年代別に44本の映画の中のセリフを取り上げ、そのセリフの背景となるあらすじを大体2ページぐらいで紹介して、あとは、その作品についての一口メモと英語のセリフについての一口メモが1ページずつあるといった構成になっています。

 きれいに纏まっているので、語学雑誌か何かの連載かと思ったりもしましたが、書き下ろしみたい。

 あらすじの説明に各2ページも割いているわけで、どちらかと言うと、「英語」の本と言うより「映画」の本であり、サブタイトルに「男の名セリフを味わう」とあるように、取り上げられているのはすべて男性登場人物のセリフです(サブタイトルの方が内容に即している)。

 あとがきにも、編集者から「団塊の世代を中心に、中高年男性が読んで楽しめるような、カッコいい男たちの名セリフ集を作れないか」との話があって本書を執筆したとあり、「同世代の男性に向けて書いた」(著者は1953年生まれ)ともあります。

 従って、映画の内容を思い出しながら、再度その作品を見る際は幾つかのセリフにこだわって観る楽しみにするといった読み方になるのでしょうか。

 著者自身が、そのセリフが語られた背景を丁寧に解説しているわけで、「使ってみたい」と言っても、そう使うような場面が日常であるようにも思えない印象を受けました。

 作品に関する一口メモには、俳優に関するエピソードや映画が作られた際の裏話なども織り込まれていてそれなりに楽しめましたが、メジャーな作品ばかり取り上げているため、映画ファンからすれば"一般常識"の範疇内の話も多く、一方、「英語」の方を期待した読者には、物足りないものとなっているのではないかと思いました。

 「使ってみたい」は編集者がつけたタイトルなんだろなあ、きっと。
 暇な時にさっと目を通す「映画」の本(映画教養書)といった感じでしょうか。

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中学英単語を網羅。向き不向きはあるが、自分としては「語呂合わせ」記憶術の"推奨派"。

基本英単語連想記憶術2.jpg 『基本英単語連想記憶術―天才の記憶術 (青春新書)英単語連想記憶術 第1集.jpg 英単語連想記憶術 第2集.jpg 『英単語連想記憶術〈第1集〉―心理学が立証した必須4000語の獲得 (青春新書)』 『英単語連想記憶術〈第2集〉―笑いながら獲得する必須3000語 (青春新書)』〔新版'98年〕

基本英単語連想記憶術.JPG 著者(故人)の『英単語連想記憶術(第1集・第2集)』('74年/青春新書)には、かつて高校生時代に大変お世話になり、今は2色刷りとなったそれぞれの新装改定版('98年/青春新書)を手元に置いていますが、この『基本英単語連想記憶術』は、中学校で学ぶ基本単語を集めたもので、こちらの方の改定版は出されていないようです。

 第1章「最重要語」276語、第2章「重要語」449語、第3章「必須語」300語、第4章「常識語」435語という構成で、慣用語300を含めると全1,600語。これだけ覚えれば、中学英語では十分ではないかな(超難関高校のマニアックな入試問題に挑もうとするならばともかく)。

 第3章の「必須語」までが語呂合わせで覚えるやり方になっていて、それぞれの章の中で、名詞、動詞、形容詞...といった具合に品詞ごとにグループ化され、更にその中でそれぞれアルファベット順になっています。

 各単語に、中学1年生から3年生までの学年別ランクに沿って、①から③の番号が振ってあるのも親切、'79年の初版ですが、学年別に習う英単語の変遷はあまり気にしなくてもいいのでは。

 第1章「最重要語」、第2章「重要語」は、部分的にですが、語呂合わせに関連したイラストも入っていて、これが記憶する際の大きな助けとなります。

 こんな簡単な単語までわざわざ語呂合わせで覚える必要があるのかとか、発音やイントネーションが誤って記憶されるとか、いろいろ批判はありますが、個人的には、自分としては連想記憶術の"擁護派"であり"推奨派"です。

 記憶術には人によって向き不向きがあり、いろいろ試してみたうえで、結局「語呂合わせ」が一番しっくりきたという人も結構いるのでは。発音やイントネーションは、それはそれで、語呂を覚える際に意識しておけばいいことではないかと(そうすると、むしろ語意と発音の両方を一時に覚えられるメリットがある)。

 何でもかんでも語呂合わせで覚えさせようとするのではなく、外来語などは第4章「常識語」に括られていて、前置詞など用法が多岐に渡るものも、この章で解説されています(若干だが、第1章から第3章にある単語で、「外来語」ではないが「常識語」ではないかと思われるものもあったりはしたが、それはそれで、意味を知っていれば新たに語呂で覚える必要がないだけの話)。

 英語学習のやり始めで英語が嫌いになるケースの最大要因は、やはり覚えなければならない英単語が多すぎて、学習についていけないということにあるのではないかと。

 英単語の記憶法には、語源や接頭語・接尾語の意味などからグループ化して覚える方法もあるけれど(森一郎の『試験に出る英単語』も、一部この方法を用いている)、中学生にはやや難しいと思われ、結局、ある程度は、こうした「力技」で覚えてしまうしかないのでは。

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『でる単』より役に立った『でる文法』。

試験にでる英文法.jpg試験にでる英文法.jpg試験にでる英文法』['91年改訂版]試験にでる英文解釈.jpg試験にでる英文解釈』['01年改訂版]

 森一郎と言えば累計で1500万部以上売れ、今も改版・増刷を続けている『試験にでる英単語』('67年/青春新書)が有名ですが、参考書としては本書『試験にでる英文法』('71年12月/青春新書)の方が画期的だったのではないでしょうか。

英文法解説 江川 泰一郎.jpg その画期的な点の1つとして、普通の文法書だと、例えば江川泰一郎『英文法解説』('64年/金子書房、'91年第3版)がそうであるように「名詞」から始まり「代名詞」、「形容詞」と来るところを、本書は章立てのトップに「不定詞」が来て次が「動名詞」になっていて、要するに試験に出る順、間違え易い順に並べられているという点が挙げられます(因みに、一般書だが、マーク・ピーターセンの『日本人の英語』('84年/岩波新書)は「冠詞」がトップに来ていて、これは、「日本人の苦手な順」?)。

 『試験にでる英単語』にも実は試験に出試験にでる英文法 森一郎.jpgやすい順に英単語を列挙した章がありますが、文法書でそれをやるとは、大胆と言えば大胆。英文法を体系的に理解する上での良し悪し論はあるかと思いますが、自分には合っていたし、今読んでも、文法書として優れているのではないかと。 

 著者が言うように、『試験にでる英文解釈』('72年/青春新書)と併せて活用すると効果的だと思います(『試験に出る英文法』にある例題の設問形式自体はやや古い。一方、『試験にでる英文解釈』は、目次を見れば分るが「英文法の本」。こちらの方が練習問題用には使える)。

 森一郎(1923-1991)は日比谷高校の教諭だった人で、同じシリーズの『試験にでる現代国語』『試験にでる古文試験にでる現代国語.jpg単語』の著者試験に出る古文単語.jpg勝山正躬.jpg勝山正躬(1912-1989)は灘高校の校長でしたが、両著者のこのシリーズの本は2人の没後も改訂されています。
 日比谷・灘両校はかつては東大進学者数を巡ってのライバル校同士でしたが、ここでは今も競い合ってる?

勝山正躬(1912-1989)

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無味乾燥な記憶対象としてではなく、英単語に知的関心を抱かせるという点で親しみ易い本。

英単語記憶術2.jpg岩田 一男 『英単語記憶術』.bmp      岩田 一男.jpg 岩田 一男(1910-1977)
英単語記憶術―語源による必須6000語の征服 (カッパ・ブックス)』['67年]  

 ロングセラーである森一郎 『試験にでる英単語』('67年/青春新書)は、その章立てが、「派生語」がトップに来ていて、「接頭語・接尾辞」が最後に来ていることからも分るように、単語を例えば接頭語・接尾語でグループ分けして覚えていくやり方が特徴の1つで、このスタイルを受験参考書に採り入れたのが画期的だったということかも。

 但し、受験参考書類に限らなければ、この方式は翻訳家や通訳を目指す人向けの本に既にあったように思われ、一般向け(ビジネスパーソン向け?)の新書では、『試験にでる英単語』の少し前に刊行された本書『英単語記憶術』('67年/カッパ・ブックス)があり、章立ても「語根による記憶術」「接頭辞による記憶術」「接尾辞による記憶術」...となっていて、ここで採られている方式がまさにこれに該当します。

 例えば、「語根による記憶術」であれば、「北極と南極から等しい(equal)地点にあるから、赤道(equator)である」と。「接頭辞による記憶術」であれば、「発見する(discover)とはカバー(cover)とる(dis-)」ことである、「接尾辞による記憶術」であれば、「ライバル(rival)とは、川(river)の両側で魚を取り合う人(‐al)である」といった感じで憶えていく要領となります。

 この本、松岡正剛氏も「千夜千冊」で取り上げていています、。

 ―サンフランシスコへ行く飛行機で難波祐介が隣の席でしきりに本を読んでいる。他人が何を読んでいるのか覗くクセはないので、ずうっとほうっておいたのだが、二人旅の飛行機ではそれでは退屈しすぎるか、失礼かのどちらかなので、つい「それ、何?」と聞いてみた。それが本書だった。 難波君は建築出身のプロデューサーで、世界中の空港を出入りした数と頻度ではめったに他人に負けないコスモポリタンである。体力にも民族にも風土にも自信があって、クウェートに石油パイプを引くプロジェクトもタイに300校の小学校をつくるプロジェクトなども、日本人は難波君ひとりが切り盛り役だった。 したがって英語はペラペラ、しかも早口でも喋れる。その難波君がかわいいカッパブックスの英語学習の本を読んでいる。しかも、岩田一男だ。例の大ベストセラー『英語に強くなる本』の姉妹本なのだ。それもこれからサンフランシスコに行こうとしている飛行機で夢中に赤線やら青線を引っぱっている。 「おもしろいの?」と聞くと、「いやあ、これ、よくできてますよ」と言う。(「千夜千冊」第219夜/2001年1月30日より)

 松岡氏自身も読んでみて「中身はなるほどうまくできている。少なくともエティモロジー(語源学)の学術本よりはずっと工夫がしてあるし、ハンディな語源辞典のたぐいの白々しさもない」と。

英絵辞典 岩田一男.jpg岩田 一男 『英単語記憶術』『英熟語記憶術』.jpg 著者の岩田一男(1910-1977)は英語の語源学の権威だった人で、語源にまつわる話がエッセイ風に取り上げられているのが読み易く、また1ページ1テーマで纏めているので(接頭・接尾辞をグループ化している)、どこからでも読めるという利点がありました。
 受験英語の参考書として使うにはちょっと悠長な感じもしますが、無味乾燥な記憶対象としてではなく、英単語に知的関心を抱かせるという意味では、親しみ易い本でした。
英絵(えいえ)辞典―目から覚える6,000単語 (1968年) (カッパ・ブックス)
英熟語記憶術 重要5,000熟語の体系的征服 (KAPPA BOOKS)』['69年] 

英単語記憶1.JPG英単語記憶2.JPG

  
 
 

 
 
 
 
   
英単語記憶術: 語源による必須6000語の征服 (ちくま文庫)

イラスト:真鍋 博

【2014年文庫化[ちくま文庫]】

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語呂合わせによる記憶方法。"邪道"かもしれないが、個人的な相性は良かった。

英単語連想記憶術30.JPG 英単語連想記憶術 第1集.jpg 英単語連想記憶術 第2集.jpg
英単語連想記憶術〈第1集〉―心理学が立証した必須4000語の獲得 (青春新書)』 『英単語連想記憶術〈第2集〉―笑いながら獲得する必須3000語 (青春新書)』〔新版'98年〕(表紙イラスト:ウノカマキリ)


えいたんごれんそうきおくじゅつ.jpg英単語連想記憶術 旧版.jpg '74年に刊行されロングセラーとなった旧版の語彙数を増やし2色刷にした24年ぶりの改訂新版(「デラックス版」とのこと)ですが、旧版には、自分が英単語で周囲から遅れをとっていた時に、それにより一気に語彙数を挽回すること出来、大変お世話になったという思い出があります。

英単語連想記憶術 (第1集) (青春新書)』 旧版(1974年)

英単語連想記憶術 (第2集) 0_.jpg英単語連想記憶術 (第2集) (青春新書)』 旧版(1974年)
英単語連想記憶術.jpg 「sympathy 心配し同情する」、「insurance 飲酒は乱す保険は遺族を保証する」といった語呂合わせによる記憶方法であり、森一郎『試験にでる英単語』(こちらも'97年に改訂され、'02年にはCD付のものが出ている)が、語源、つまり単語を接頭語や接尾語などにパーツ分けして憶える方式をとっているのとは根本的に異なります。

試験にでる英単語 耳から覚える CD付き.jpg 言わば"連想丸暗記"方式で、"邪道"と言われればそういうことになるのかも知れませんが、とにかく憶えてしまうことが目的という点では、「連想」式の方が自分に合っていました(原語と語呂の間に発音記号が付されているので、発音上の問題はないと思う)。

試験にでる英単語―耳から覚える』(2002年)

 『英単語連想記憶術』の改訂新版が出ていることは最近知ったのですが、ウノカマキリの表紙イラストまでほぼ同じで、2色刷りになったことを除いては「復刻版」と言ってもよいのでは。
 いったんこのやり方で憶えると、もうこの方式から逃れられない?と思いつつ、読み返してみると結構、元の語呂は忘れているのに単語の意味は頭に入っているものもあれば、あまり使わずに忘れてしまったものもあり、それでも、読み返しているうちに思い出し、特に小松慶司郎の挿絵と組対になっているものは、すぐに記憶が蘇ってきました。

 改訂新版(「デラックス版」)は第1集が4,000語、第2集が3,000語とのことですが、これらは、見出し語だけでなく派生語や反対語も含んだ語彙数で、ただし、『試験にでる英単語』もそうですが、見出し語の中にも受験英語のレベルを超えたものがかなりあり、試験には出ないけれども、専門分野やビジネスの世界に進んでから結構出くわす単語も多く含まれているかと思います。

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"実践"ですぐに役立つビジネス英単語集。語句の説明も丁寧。

ビジネスに出る英単語.jpg 『ビジネスに出る英単語―テーマ別重要度順キーワード2500』('02年/講談社インターナショナル )

 謳い文句どおり、"実践"ですぐに役立つビジネス英単語集。
 マーケティング、生産管理、財務・経理などビジネスの各分野別に重要度順に配列し、2色刷りなので読みやすく、解説も丁寧です。
 ビジネスの現状に即した内容になっていて、「ビジ単」と呼ばれ利用者が多くいるようです。

 特に仕事上、人事関連で参考になりました。
 米国企業では、訴訟放棄契約書にサインしないと解雇手当が出ないケースがあるとか(大リーグのウェーバー方式というのは訴訟放棄条項があるようですが、これは野球に限らず一般企業社会での慣習として行われているのですね)、「単身赴任」という言葉は該当する言葉は英語には無いとか、興味深かったです。
 
 そのほかにも、M&Aや企業戦略に関連する言葉が豊富です。
 Supply Chain Management の説明で、"最も成功したのはユニクロである"とか、具体例を多く挙げていてわかりやすいです。

《読書MEMO》
●人事関連...
 ・change agent 組織変革推進者(357p)
 ・turnover rate 離職率(358p)
 ・glass ceiling ガラスの天井(昇進における性などの差別)(359p)
 ・compensation 米では普通"役員報酬"(360p)
 ・contribution holiday 年金拠出停止
 ・seniority 勤続年数(390p)

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突然仕事で英語を使わざるを得ない状況になった人にお薦め。

仕事にすぐ役立つビジネス英語表現実例集.jpg  『仕事にすぐ役立つビジネス英語表現実例集』 (2002/12 中央経済社)

 単行本や新書でベストセラーになったものから、NHKで出しているシリーズもの、TOEIC公式ガイドから果ては「超右脳式」とかいうものまで当たりましたが、結局スピーキングに関してはこの本が一番役に立ちました(CD付きではないので、発音は別として)。

 〈日本人〉vs,〈外国人〉のビジネス交渉などを軸にした状況設定が非常にあり得える具体性を持っていて、リアリティがあります。
 「仕事にすぐ役立つ」というキャッチは大袈裟ではないと思いました。
 
 通常こうした素材では会話が長くなりがちですが、本書でのダイアローグは10行前後とコンパクト。
 構成自体はダイアローグに語彙と表現例が書いてあるだけの一般的なものですが、ダイアローグの対訳との見開きのページ構成で、1セッションを読む間にページをめくる必要がないので集中できます。

 対訳の下にあるコラムも、著者の豊富な経験に裏づけされた楽しい内容になっています。

《読書MEMO》
●「英語ではダンベルでダイエットは存在しない」ダイエットは食事療法、痩せすぎの人が太る場合にも使う(87pコラム)
●「どうぞよろしくお願いします」「お疲れ様でした」という表現は英語にはない(159pコラム)
●「頑張って」はGood Luck!(日本は本人に努力を求め、西洋では天に祈る《→時にTake it easy!を使う》

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「英語やり直し」というテーマに沿った"参考書"。

英語「超基本」を一日30分.jpg 『英語「超基本」を一日30分!』  角川oneテーマ21 〔'02年〕

 本書は「角川oneテーマ21」の1冊ですが、「英語やり直し」ということでテーマがはっきりしています。
 英会話の使える表現集などが付いていますが、基本的には会話のベースとなる「英文法」の本です。
 たいへんオーソドックスで、『試験に出る英文法』の簡易版みたいな感じ、要するに新書と言うより参考書であるという気がしました。
 そう感じるということは、内容がテーマに沿っているということでしょうか。
 「枝よりも幹が重要!」、「未来を表すのはwillだけで大丈夫」、「英文は3パターンしかない!」といったキャッチも、ある意味正統的で、こうしたマトモさがベストセラーになった要因かもしれません。

 ただ、読み終えてもう一度読み直そうとすると、例文が語彙集的役割を果たしている分、解説部分が文法の話だったり語彙表現の話だったりで、少し読みにくい感じもして、個人的には、その部分での相性が今ひとつでした。
 
 繰り返しになりますが、新書本ですが、内容的には〈読み物〉というよりは〈参考書〉です。
 1回目に読むときに、自分なりのポイントにマーカーで線を引くようにした方が良いかと思います。

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英文に内在する論理構造を知ることができる良書。

日本人の英語.jpg 日本人の英語 続.jpg  『日本人の英語 (岩波新書)続・日本人の英語』 岩波新書 〔'88年/'90年〕

 英語における冠詞や前置詞、時制や関係代名詞、受動態などの使い方を通して、英文に内在する論理構造を知ることができる好著です。

 日本人の英語表現のよくある誤謬を単に正すのではなく、日本語と英語のもともとの発想や論理の隔たりがどこにあるのかを、ユーモアを交えながら説き明かしていく展開は、楽しく読めて、かつ奥が深いものであり、日本語と英語の両方に通じた著者の慧眼を示すものです。
 面白いだけでなく、ある意味、今まで誰も示さなかった習得の近道かも知れません。

 例えば冒頭の、「名詞にaをつける」のではなく、むしろ「aに名詞をつける」のだという話は、初めての人には何を言っているのかよく解らないかもしれませんが、読んでみればaもtheも名詞につけるアクセサリーのようにしか思っていなかった人は「目からウロコ」の思いをするのではないでしょうか。
 ここを理解するだけでも元が取れてしまう1冊です。

 '90年には「続」編が出ていて、構成は、冠詞、前置詞、副詞、時制、知覚動詞、使役動詞というように「正」編とほぼ同じですが、日本文学や映画から素材を選び、比較文化論的エッセイ風の色合いが強まった感じがします。 

 それは冒頭の、アメリカ人は日本人を the Japanes eと言うのに、自分たちを the Americans と言わず、Americans というのはなぜだろうという疑問提示にも表れていて、著者による「文化論的」謎解きに触れたときには、思わずう〜んと唸ってしまいました。

 全体的には、「続」も「正」と同様に楽しく、また「正」よりスイスイ読めますが、先に多少時間をかけてでも「正」の方を読んでおいた方がいいかも。

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「●「菊池寛賞」受賞者作」の インデックッスへ(エドワード・G・サイデンステッカー)

「読む」辞典。読みながら日米口語の共通点や相違点が掴める。

最新日米口語辞典2.jpg 『最新日米口語辞典 増補改訂版』 (1982/01 朝日出版社)

 「A」の"あばたもえくぼ"― Love is blind から「Z」の"頭痛のタネ"―one's biggest headache まで、約600ページに3,000語を収録しています。つまり1ページ平均5語。それだけ一語一語の説明が丁寧で、例文も豊富であるということになります。
 「引く」辞典ではなく「読む」辞典であり(活字も通常の辞典より大きめで、紙質もいい)、読みながら日米口語の共通点や相違点が掴めます。

エドワード・ジョージ・サイデンステッカー.jpg 初版が'77年、増補版が'82年とずいぶん以前であるのに古さを感じさせないのは、日本語の抽出の仕方が口語とは言えオーソドックスで、時代を経ても使われ続けられるものを選んでいるためと思われます。このあたりは、編纂者の識見のなせる技でしょうか。

Edward George Seidensticker (1921-2007)

 エドワード・サイデンステッカー('77(昭和52)年に菊池寛賞受賞)は谷崎潤一郎、川端康成作品などの翻訳でも有名な人で(川端康成のノーベル文学賞受賞の貢献者とも見なされている)、日本語の面白さがよく出ている表現が多く(これを英語に訳すと、残念ながら必ずしも同じくらい面白いものになるわけではないのだが)、また、時代の波に消えてしまうような流行り言葉っぽいものはあまり入れていないようです。

 米語の発想に触れるうえでは、多くの学習者にとって有益だと思います。
(後に、 『生物と無生物のあいだ』('07年/講談社現代新書)の著者・福岡伸一氏が、この辞書の愛読者であることを知った。)
 ただ、ここにある米語の口語表現を会話の中で使おうとするならば、会話表現力が相当ないと、その部分だけ"一点豪華主義"みたく浮いてしまうと思います。

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アメリカ俗語と同時に日本の俗語も知ることができ、読み物としては面白いが...。

アメリカ俗語辞典3.bmp アメリカ俗語辞典.jpg  『アメリカ俗語辞典』 (1975/09 研究社出版)

 この辞典が出来上がった契機というのが、臨床心理の医者である著者(ランディ)が、麻薬患者などと意思疎通を図る過程で、隠語を蒐集していったというものです。黒人、麻薬、同性愛、バイク乗り、犯罪、売春、医薬などに関する俗語が多く、そのまま'60年代のアメリカの世相を反映したものとなっています。

 俗語というのはアンダーグラウンドの人々が自分たちとオバーグランドの人々を区別しようとする働きから生まれるものだとすれば、'60年代は特にそうした土壌があったのでしょう。さらに、批評家(哲学者?)の東浩紀氏が『動物化するポストモダン-オタクから見た日本社会』('01年/講談社現代新書)の中で指摘したように、「日本のオタク系文化の起源はじつは(中略)、戦後'50年代から'70年代にかけてアメリカから輸入されたサブカルチャーだったという事実」がここにあるのかも知れません。

 由緒ある出版社から出されている辞典ですが、英会話教室で机の上に置いといたら、ネイティブの教師から "Oh!No!"というお言葉を頂戴しました。ペーパーバック小説などを読むときには役に立ちそうな気もするのですが、この辞書をパラパラとめくって読んでいるだけで'60年代のアメリカ文化的ムードが伝わってきます。

 この辞典のもう1つの特徴は、アメリカ俗語に対応する日本の俗語のマニアックとも思える蒐集ぶりです(訳編者が70年代に大学生を中心に集めたという)。試しに bear とか bush という語を引いて見ればわかりますが、完全に〈日本語俗語辞典〉と化しています。日本にだってこんなに俗語はあるぞ〜みたいな。多分〈日本語の俗語〉の方も、一般の読者には初めて知るものの方が圧倒的に多いかと思います。
 
 読み物としては面白いですが、ペーパーバック小説などを読むとき以外で役に立つかどうかというと、汎用性という点ではどうかなという気もする辞典です。

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大切なのは研修対象者の明確化と英語学習の「空気づくり」。

日産を甦らせた英語.jpg 『日産を甦らせた英語』 光文社ペーパーバックス 〔'04年〕ゴーン社長.jpg

 前半部分で、日産がどのように企業内英語研修に取り組んできたかを軸に、「成功する企業」の英語研修というものを検証していますが、その過程で、日産のリバイバルプランと社内英語の関係や、クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)やコミットメント(必達目標)という言葉が何を指すかなどもおおまかに掴めます。

 実際に自社で効果的な英語研修を行おうとする場合、「全体的な底上げか?ピンポイント式か?」研修対象者を明確にしておかないと、教える側も辛いものがあり、研修自体も非効率なものになるというのは、よくわかります。

 もう1つ、大切なのは英語学習の「空気づくり」であるとのことですが、これが一番難しいのではないでしょうか。
 この点では日産の場合、ゴーン氏が来たことで、自ずとそうしたグローバル志向の社内雰囲気になったのではないでしょうか(他のフツウの企業に比べれば条件がいいと言えばいい...)。
 研修担当者の立場から見ると、本書で推奨している「習熟に応じて」費用援助するというのは、なかなかいいやり方ではないかと思いました。 

 後半は、英語を学習するビジネスパーソン向けの効果的な学習方法について触れ、さらに「異文化間コミュニケーション」について書かれています。

 〈a〉と〈the〉の使い分けにおいて、ある会社の社長 president は知らなくても1人しかいないから the president であり、特定されてないマネジャーを the manager とやると、「どのマネジャーか?」と訊かれてしまうなど、ビジネスの現場に沿った解説はわかりやすく、日本は予め基本認識が共有されている「高コンテキスト(文脈)文化」で"以心伝心"への依存度が高いが、アメリカなどは「低コンテキスト文化」であることを踏まえよ、等々の話は、読み物としても面白ものですが、体系的に論じるには紙数不足か。
 
 企業内での英語研修のあり方を模索する担当者にとっても、日産の再生について興味がある人にも、、ビジネス英語の学習者にとっても役立つ本...と言いたいところですが、ピンポイント的には参考になる指摘はあったものの、総体的には読者ターゲットが拡散し、何れに対してもやや浅い内容のものとなっていることは否めないと思います。

 企業内英語研修の専門家で、日産のそれを担当したという著者が、当事者としていろいろ書きたかったのは分かりますが...。

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