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創始者フレデリック・パールズ自身によるまさに理論と実践の書。

ゲシュタルト療法.jpg 『ゲシュタルト療法―その理論と実際』 フレデリック・パールズ.jpg フレデリック・パールズ (1893‐1970) in 「グロリアと3人のセラピスト」

 「ゲシュタルト療法」は、人間の精神は部分や要素の集合ではなく、全体性や構造こそ重要視されるべきとした「ゲシュタルト心理学」(ゲシュタルトは「全体」という意味のドイツ語)をベースとしており、また「今・ここ」で「いかに」「なにを」話しているかを問題とするように、実存哲学の考え方も取り入れられています(本書にある"ゲシュタルトの祈り"にその考え方がよく表れている)。「理論」の部分は前提知識がないとやや難しく感じられるかも知れませんが、創始者フレデリック・パールズ自身による著書で翻訳されているものは本書しかないので、読む価値はあると思います。

 ユダヤ人精神科医であったパールズは、フロイト派の精神分析医としてスタートしていますが、本書では自由連想法などに対しては完全に批判的で、むしろ「ゲシュタルト療法」というのはその対極にあるものと言ってよいかも(ただし、フロイトという先達に対して著者は、深い尊敬の念も抱いている)。患者例として神経症のかなり難しい症例などが選ばれていますが、技法としては、患者の声の調子や姿勢、身振り、他者に対する反応を注視し、その人の人格的欠陥を探し、自身に気づかせながら治療するという、言わば積極的に患者の"態度"に働きかけていく手法をとっています。これは、アルバート・エリスの論理療法が、その人の"思考"に積極的に働きかけるのとも、また異なるわけです。

 以前にビデオで見たもので、「グロリアと3人のセラピスト」というのがあります。聡明だが現実生活に悩みをもつ若い女性が、ロジャーズ(来談者中心療法)、パールズ(ゲシュタルト療法)、エリス(論理療法) という心理療法の3大創始者のセラピーを1日の間に続けて受ける(!)、その様子を収めた記録映画です。面接中に一番口数が多かったのがパールズで、どんどん女性の話を中断して、そのとき女性がとった態度などを話題として割り込んでくる―。しかも瞬時に、その態度に対する彼なりの解釈を添えて。

3 approaches to psychotherapy 2 of 3 - Fritz Perls

 女性が面接終了後、パールズ先生は少し怖かったというようなことを述べていたのが印象的でした(残念ながら、貴重な体験をしたこの女性は、その後間もなく交通事故死してしまったとのこと)。

 個人的には、実践場面においてのこの療法は、かなりセラピストのタレント(資質)に依存する部分が大きいのではという気がしています。

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交流分析(TA)の対話例を多くとりあげ、詳細かつわかりやすく解説。

自己実現への道.jpg  自己実現への道2.jpg  『自己実現への道―交流分析(TA)の理論と応用 (1976年)

 「交流分析(TA-Transactional Analysis)」は米国の精神科医エリック・バーン博士によって創始されたパーソナリティー理論の一つであり、心理療法として開発されたものですが、本書はその理論と実践場面での応用についてかなり早い時期に翻訳紹介された本で、バーン博士の直接の弟子にあたる人たちによって書かれています。

transa.bmp 「交流分析」とは要するに人と人とのやりとりの分析であり、
 ◆P:ペアレント(親)、
 ◆A:アダルト(大人)、
 ◆C:チャイルド(子供)
 という3つの自我状態をクライエントとセラピストがロールプレイし、P-P、P-A...といった対人パターン(3×3=9通り)の中で状況にふさわしい態度・考え方・行動様式を対話分析を通じて獲得していくもので、本書ではその具体的な対話例を多くとりあげ、詳細かつわかりやすく解説しています。
 さらに、CP(批判的な親)、NP(保護的な親)、A(客観的な大人)、FC(自由な子供)、AC(順応した子供)という5パターンに拡大した応用についても、実例を示して解説していて、1セッションの中での役割変換のダイナミズムなども理解しやすいものとなっています(この5パターンが基本形で、さらに右図のような応用形があるのだが)。

 P(親)、A(大人)、C(子供)という自我概念は、フロイト理論の超自我・自我・エスにほぼ対応しているようですが、最初に本書を読んだときに、非常にプラグマティカル(実用的)なものを感じました(そのことは、"Born to Win" という原題からも窺える)。

 精神分析というものが既に先行して行われていたこと、人種の坩堝社会の中で対話コミュニケーションが重要な位置づけを持つなど、日本とは異なる土壌や文化が背景にあり、一方で、日本において普通の社会人が、例えばチャイルド(子供)という自我状態にスッと入っていくロールプレイがどこまで可能かという難しさは感じました(TAは日本では、理論はあるが技法は弱い、ともよく言われている)。
 しかし日本でも、教育現場などを中心に以前からTAが行われており、またその応用であるエコグラムによる自己分析などは、ビジネスの現場でもとりあげられるようになってきています。

自己実現への道.jpg

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