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「来談者中心療法」のカウンセリング事例。「来談者中心療法」の実際を知るうえで格好の入門書。

来談者中心療法.jpg来談者中心療法 心理療法プリマーズ』(2003/09 ミネルヴァ書房)Carl Ransom Rogers.jpg Carl Rogers

 一般に「来談者中心療法」はカール・ロジャーズによって開発され、ロジャーズ理論とイコールとされていますが、厳密に言えばそれは100%正しいとは言えず、本書にもある通り、ロジャーズが強調した〈純粋性・受容・共感的理解〉という概念は、セラピストの人格とクライエントに向かう態度であり、彼自身は技法論を提唱していません。    

 この本では、来談者中心療法とは何か、その技法論とは何かなどの歴史と理論に冒頭約3割を充て、それでは専門家たちはどのようにしてカウンセリングを行っているのかを実際の事例で示すことに、残り約7割を充てています。

 本書での6人のカウンセラーによる6つの事例は、10回程度のものから60回を超えるものまで面接回数もその内容も多様ですが、単なる逐語記録の抜粋ではなく、カウンセラー自身の考え方や状況説明に加え、自身での振り返りや何を学んだかなどが述べられいます。
 
 例えば、クリスチャンであるカウンセラーが、新興宗教にはまっているクライエントに向かった場合、どこまで介入すべきかといった難しいケースなども、実事例としてこれらの中にあります。

 1つ1つの事例の末尾に東山氏がコメントをしていおり、「来談者中心療法」の実際を知るうえで格好の入門書だと思います。

カール・ロジャーズのカウンセリングの模様
CARL ROGERS AND GLORIA COUNSELLING PT 1 (「グロリアと3人のセラピスト」より)

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「相づち以外はしゃべらないこと」が第一歩。実生活でも役に立つ本。

プロカウンセラーの聞く技術.jpgプロカウンセラーの聞く技術』 ('00年/創元社)higashiyama.jpg 東山 紘久 氏(経歴下記)

 来談者中心療法の権威である著者が一般向けに書いた、人の話を「聞く技術」の本ですが、来談者中心療法の実生活での応用編ともとれ、カウウセラーを目指す人にも技法面で大いに参考になるのではないかと思います。

 久しぶりに友人と会食することになり、何か相談ごとでもあるのかなと思って行ったけれども、ついつい会った途端に自分の話ばかりしてしまい、その時は楽しかったけれども、ウチに帰った後で相手の話はあまり聞かなかったことに気付き、しゃべり過ぎたと後悔する...。
 そうした経験をよくする人にはお薦めです。
 本書の31章の中から、自分にとってのチェックポイントに線を引き、人に会う前にもう一度なぞっておく。
 そういうことを繰り返していくうちに、本書の効用を実感することがあるかと思います。
 そうした意味では、実生活でも大いに役に立つ本と言えるかも。

 因みに第1章の中に「相づち以外はしゃべらないこと」とあり、これがこの本の第1段階ですが、このことを実行するだけでも結構たいへんかも知れませんし、その難しさを意識することで、自分の未熟さに対し謙虚な気持ちにもなれます。

 他人から"頭のいい"人と思われたければ、"頭のいい話し方"の本を読む前に、まずこの本を読んでみてはどうでしょうか。

《読書MEMO》
●相づち以外はしゃべらないこと(11p)
●「なるほど」「なあるほど」「なるほどね」「なるほどねえ」「なるほどなあ」と「なるほど」だけでも使い分ける(26p)
●相手の話したことを繰り返すのは、すばらしい相づち効果(29p)
●悪口を言うからこそ我々は悪くならないですんでいる(48p)
●相手の思いのままに聞き、自分の思いは胸にしまっておく(101p)
●プロは相手の話の内容よりも、なぜその話をするのかに関心」ある(158p)
●聞きだそうとしない(193p)


「労政時報」3773号 "人事のプロ"が薦める15冊
『プロカウンセラーの聞く技術』(東山 紘久 著/創元社 2000年)
■ 聞き上手になるためには
 本書は、プロのカウンセラーである著者が、聞き上手になるための技術を解説したものである。著者によれば、ほとんどの人は、話を聞くよりも話をする方が好きで、たとえ話すのが苦手だという人でも、リラックスして話せる相手にめぐりあえると、とどまることを知らないほど話したりするものだという。
 では、聞き上手になるにはどうすればよいか。それには、相手の話したいという気持ちを負担に感じず、また、こちらからは話したくならないような訓練が必要であるという。本書は、聞く技術を習得するための31項目のキーフレーズを掲げ、それらを順に解説している。  
■ 相づち以外はしゃべらない
 第1項「聞き上手は話さない」には、「とにかく、まずは、相づち以外はしゃべらないこと」とあり、第4項「相づちの種類は豊かに」では、プロのカウンセラーは、「なるほど」という相づちだけでも「なるほど」「なあるほど」「なるほどね」「なるほどねえ」「なるほどなあ」と使い分けるとある。また、「相手の話したことを繰り返すのは、すばらしい相づち効果」になるともある。だだし、相手のどの言葉がキーワードかを判断しつつ、それをしなければ逆効果になるため、これは高等技術である。
 また、第8項に「自分のことは話さない」とあり、第10項に「聞かれたことしか話さない」とあるが、これは、「聞き手モード」を意識的にキープしないと、ついつい「話し手モード」になってしまうということである。
 第12項に「情報以外の助言は無効」とあり、助言として自分の体験を話す人がいるが、こうした話が相手の心に響くことはまれであるという。聞き手は話し手より偉くないことを自覚しているべきであって、第15項にあるように、「素直に聞くのが極意」であり、「相手の思いのままに聞き、自分の思いは相手が聞くまで胸にしまって」おくのが、その「素直」ということである。
■ どのような姿勢で相手の話を聞くか
 中には、相手の話に共感しようとするあまり、相手に同情し、相手の問題を自分の問題と混同してしまう人もいる。第19項には、「相手の話は相手のこと」と考えるとある。もちろん、温かい気持ちでそれができるためには、相手に対する理解が必要であり、相手の気持ちになって、しかも相手と自分を混同しないことが肝要なのである。
 また、第22項にある、「LISTENせよ、ASKするな」とは、相手の話を「聞く」のであって、「たずねる(質問する)」のではないということである。「たずねる」と「聞く」の大きな差は、「たずねる」のが質問者の意図にそっているのに対して、「聞く」のは話し手の意図にそっていることである。さらに、第29項には、「聞きだそうとしない」とあり、相手の話を聞く態度で、「聞きだす」というのは、さしさわりがあるとしている。
 どの項も、どのように相手の話を聞くべきかということを、深く教えてくれているように思える。
■ 「聞く技術」の効力
 人はだれでも、信頼しあえる人間関係を持ちたいと思っている。それは、職場においても同じである。仮に自分が人事部にいるとして、会社の考えを社員に伝えるのが使命であって、そのためには社員から嫌われてもしかたがないというのは、あまりにも後ろ向きである。といって、社員ひとりひとりから嫌われないようにすることに腐心していては、仕事にならない。社員の何人かは、自分の考えや不満を会社に聞いてもらいたいという気持ちを強く抱いている。そうした際に、窓口となる人事部の人間が、しっかりとその気持ちを受けとめてくれるかどうかが、人事部と社員の信頼関係、しいては会社と社員の信頼関係の構築において、ひとつの大きな要素になるのではないか。
 コンサルティングの場でも同様である。一方的に自らの考えを顧客に押しつけるコンサルタントは、たとえその知識や理論が洗練されたものであっても、心底からの顧客の信頼を得ることは難しい。経営者は、誰にも言えないでいる悩みを抱えていることが少なくない。まず、その悩みを、相手があたかも自分自身のことであるように聞いてくれたという顧客の実感が、両者の関係を次のステップに導く。信頼関係が構築されていない場合は、制度やシステムの完成間近になって、それまで見えなかった齟齬が次々と顕在化してくる。
 「聞く技術」は、こうした仕事場面において効果を発揮するばかりでなく、家庭生活や友人・恋人との交流においても応用が可能であると考えられる。
■ ベースにあるカウンセリング技法
 本書のベースにあるのは「来談者中心療法」のカウンセリング技法である。一般に来談者中心療法はカール・ロジャーズによって開発され、ロジャーズ理論とイコールとされているが、厳密にいえばそれは正しくはない。なぜならば、ロジャーズが提唱した「純粋性」(カウンセラーがありのままの自分になること)、「受容」(すべてをクライエントの感情に立って受け入れ、積極的に尊重すること)、「共感的理解」(クライエントの内的世界において理解する態度)という概念は、カウンセラーがクライエントに向かう態度を示したものであり、彼自身は技法論を提唱していないからである(東山紘久『来談者中心療法』(2003年 ミネルヴァ書房))。
 来談者中心療法の技法は、ロジャーズの弟子たちが開発・体系化したもので、著者自身も30代に、ちょうど河合隼雄がスイスのユング研究所で学んだように、米国のカール・ロジャーズ研究所で学んだ人である。本書は、来談者中心療法の実生活での応用編ともとれ、カウウセラーを目指す人には技法面で参考になるのだろう。
 ただし、本書には、難解な用語はいっさい出てこない。それどころか、来談者中心療法という言葉さえ出てこない。これを啓蒙書と読もうと技術書として読もうと、それは読者の自由であるが、読み進むにつれて、双方の視点は統合されてくるように思う。
■ 遅々たる"成長"過程ではあるが
 本書の31項は、"31段階"ともとらえられる。「相づち以外はしゃべらないこと」というのが"第1段階"ということになり、実践してみればわかることだが、このことだけでも容易ではない。
 本書全体を400m走にたとえれば、自分自身はまだ、第1コーナーあたりを迷走している。最初に読んでから何年にもなるのに情けない話ではあるが、これは鍛錬の足りなさによる。そうした本を、「私を作った"成長"本」とするのはおこがましい気もする。しかし、本書の内容のうち、自分にとってのチェックポイントに線を引き、人に会う前に再度なぞっておく―そういうことを繰り返していくうちに、本書の効用を実感することが今まで何度もあり、あえて本書を選んだ次第である。

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東山 紘久 (臨床心理士・京都大学副学長)
昭和17年、大阪市に生まれる。
昭和40年、京都大学教育学部卒業。
昭和48年、カール・ロジャース研究所へ留学。教育学博士、臨床心理士。
現在は京都大学大学院教授。専攻は臨床心理学。
著書には、『遊技両方の世界』創元社、『教育カウンセリングの実際』培風館、『愛・孤独・出会い』福村出版、『子育て』(共著)創元社、『母親と教師がなおす登校拒否――母親ノート法のすすめ』創元社、『カウンセラーへの道』創元社 他

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フォーカシング入門書。ロージャーズ理論入門としても読め、奥も深い。

心のメッセージを聴く.jpg心のメッセージを聴く2.gif 『心のメッセージを聴く―実感が語る心理学』 〔95年〕 photo_ikemi2.jpg  池見 陽(あきら) 氏 (略歴下記)

季節・夏.jpg 本書自体は、E・ジェンドリンにより「心の実感」に触れるための方法として開発された「フォーカシング(focusing)」の技法について解説した入門書ですが、「フォーカシング」は、ジェンドリン自身が彼の師にあたるC・ロジャーズとのカウンセリングの共同研究を通して、その成功・不成功例の比較からから開発した技法であるため、本書ではそのベースとなった「ロジャーズ理論」(来談者中心療法)の解説もなされています(著者自身もジェンドリンの弟子であると同時に、ロジャーズの孫弟子にあたる)。

 自分自身、何気なく手にした本書で初めて、ロジャーズのカウンセリング・マインド(「一致」と「不一致」、「共感的理解」、「無条件の肯定的関心」)の何たるかを知ったわけで、それまで来談者中心療法のクライエント役になった経験などがあったにも関わらず、その本質がわからないでいました。
 そうした意味では来談者中心療法の入門書としても読め、同時に、より広い意味でのカウンセリング・マインドとは何かを知る上でも参考になると思います。

 失敗したカウンセリングとは「心の実感」からのメッセージを引き出すことに失敗しているのであり、〈フォーカシング〉は、(1人でも出来ますが)自分の内側に感じられる「心の実感」に触れ続け、停滞した心を開いて、成長や創造性的問題解決を図るものです。
 本書は事例を挙げてわかりやすく書かれているものの、かなり奥が深く、(1人でも出来るとは言え)より実践を経ないと本当に理解できないのではと思われる面もありました。

 ただ、技法論としての、冒頭において「開かれた間をおく」というやり方は、何か禅的でもあり興味深く、日常生活でも応用が可能な気がしました。
 人間存在を、心身一元論・二元論を超えて、私とは体の「内」にいるのでも「外」にもいるのでなく「関係的な存在である」と捉える考え方は、実存主義の「世界-内-存在」に通じるものですが、「体験」も"関係"であり、ある事柄にフォーカシングすることで、その事柄に関する暗在的な"関係"が「からだ」の実感として体験されるというのは、流行の"身体論"的人生論を超えた高次の自己探求法に繋がるものかも知れないと思いました。
 
 尚、フォーカシングを来談者中心療法とは別個の体系(フォーカシング指向心理療法)として捉える見方もあることを付記しておきます。
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池見 陽(医学博士)
臨床心理士で専門はフォーカシング指向心理療法。現在、関西大学教授で、大学での教育研究のほか、臨床は自動車メーカーの健康保険組合で行っている。日本フォーカシング協会会長、日本人間性心理学会理事、兵庫県臨床心理士会理事や The Focusing Institute の認定コーディネーター。

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