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マスメディア企業への「生き残り戦略」についてのプレゼンのような中身。

グーグルに勝つ広告モデル.jpg 『グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)』 ['08年]

 冒頭のヤフーとグーグルの違いで、ヤフーがアテンションを集めて卸売りしているのに対し、グーグルはインタレストを集めて売っているのだという指摘は明快で、アテンションの総量は増えないのにアテンションを奪い合う競合の数は増えているというゼロサムゲーム状態が今あると分析し、マスメディアが獲得できるアテンションの総量が減少しこそすれ、増加させるのは非常に困難な状態において、広告媒体としてのマスメディアが生き残るにはどうしたらよいかという問い掛けをし、それに答えるかたちの内容になっています(ということは、アテンションの世界の話だから、「ヤフーを超える」ならまだしも「グーグルを超える」というタイトルは少し内容と合わない気がするが)。

 テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス4媒体とインターネットの広告特性を対比し、インターネットに対してマス4媒体がどのようなポジションを取り得るかを概説すると共に、各4媒体の今後の生き残り策を提言していますが、つまりは、テレビ局や新聞社が広告メディアとして生き残るにはどうしたらよいかという、言わばマスメディア企業へのプレゼンテーションのような中身で、一般向け新書としてどうなのかなあという印象もありました。
 (ミスリード気味のタイトルがアイキャッチとしての“作為”にも思え、ついつい見方がシビアになってしまう。)

 著者は、国内大手広告代理店にてメディアマーケティング、ネット事業立ち上げを担当した後、大手外資系コンサルティングファームに参加し、主にメディア企業、エンターテインメント企業に対しての企業変革、ビジネスモデル改革に関する提言活動に従事した後、独立したという経歴の持ち主だそうですが(実在の人物なの?)、実在の人物かどうかは別として、本の内容はまさにこの経歴に沿ったものでした。

 テレビに求められるオンデマンド性、ターゲットメディアとしてのラジオ、宅配ネットワークをどう生かすかが課題の新聞、ネットとの代替性が低い情報でネットとの差別化を図る雑誌、といった具合に、それぞれの提言は比較的絞り込まれたものになっていて分り易く、話は、プレーヤー(媒体情報を乗せる機器)の問題、マスメディアそのものの要不要論(ここがサブタイトルに呼応)、コンテンツの現状と課題にまで広がり、最後に、メディアやマーケッターに情報テクノラートとして特権を振りかざすだけではこれからはやっていけないよと言っているような感じ。

 言い換えれば、プロダクトアウト(乃至メディアアウト)からマーケットインへと言っているに過ぎないともとれるのですが…(だから、マーケティング会社やコンサルティングファームにご相談くださいということか)。

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ブランド資産、ブランド育成といったものを理解する上では、纏まっていて読み易いテキスト。

企業を高めるブランド戦略.jpg 『企業を高めるブランド戦略 (講談社現代新書)』 ['02年]

 かつて電通に勤務し、現在は大学でマーケティングを教える著者が、ブランド戦略について書いた入門書で、新書でありながらもかっちりした内容となっています。

 ブランドは企業の資産であるという考え方をベースに、「ブランド」とは何か、「ブランドマネジメント」とはどいったことを言うのか、消費者にとってのブランドの意味は何かといったことから説き起こした上で、本題であるブランド戦略に関して、新たなブランドの創造、成熟ブランドの活性化、企業ブランドのマネジメント、ブランドコミュニケーションについてを解説し、更に、企業戦略とブランド戦略の関係について述べています。

 ブランド資産、ブランド育成といった概念は、本書刊行時には既に日本においても、それぞれブランド・エクイティ、ブランディングという原語のまま定着していたように思われ、そうした意味では、これまでの潮流も含めて解説したインナー向けの教科書的な内容という感じもしないでも無いですが、カタカナをズラズラ並べるのではなく、ちゃんと自分の言葉にして書かれている感じがして、それが全体としての読み易さに繋がっているのかも(一方で、新書1冊にしては詰め込みすぎで、説明がやや簡潔すぎたり、尻切れトンボになっているきらいも)。
 終わりの方にあるブランドの効果を巡っての院生と行った実験の結果や、各企業に取材したブランド育成戦略の中身についても、なかなか興味深いものでした。

キッコーマン/リーフレット「新酒 2003」
キッコーマン/リーフレット「新酒 2003」.jpg 著者によれば、日本は企業ブランド社会であるとのこと、だから醤油メーカーのキッコーマンが70年代に初めてワインを発売した当初、「キッコーマンのワインは醤油が入っているような気がする」と関係者に言われ、「マンズワイン」というブランドを作ることで企業ブランドの使用を避けたとのこと。

ネスレマギーブイヨン.jpg 一方、ネスレの調味料マギーのように、ネスレというブランドがマギーという当初はあまり認知されていなかったブランドの「保証マーク」として働く場合もあるわけで、この辺り、単一製品をイメージさせるブランドなのか、製品より(食品ならば食品全般にわたる)技術水準をイメージさせるブランドなのかの違いは大きいなあ(後者の方が汎用性が高い)。
スターバックッス ロゴ.jpg また、「スター・バックス」の日本での成功例などに見られるように、今日ではブランドを短期的に育成し活用していくような経営・マーケティング戦略が競争優位をもたらす市場状況が出現しているという指摘も興味深いものでした(デル・コンピュータなどもそうだが、サービスプロバイダー型のブランドにとりわけ見られる特色とも言えるが)。

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ブランド構築論よりも、コピーライターの視点から見た広告表現論が面白かった。

ブランド広告 光文社新書.jpg 『ブランド広告 (光文社新書)』 ['02年]  Pepsi Michael.jpg Pepsi Michael

 著者は電通出身のコピーライターで、大学でメディア表現について教えている人。本書では、定義上のブランドについてではなく、消費者が呼ぶところのブランドについて、つまり、どうすれば消費者にブランドと呼んでもらえるか(名前を聞いて良いイメージが喚起されるか)、ブランドを築く広告表現とはどのようなものであるかということについてを、広告キャンペーンのあり方を通して解説並びに考察しています。

 途中にアカウント・プランニング(広告に消費者の価値観や心理を積極的に反映させる考え方)やIMC(Integrated Marketing Communications=企業が発信するマーケティング・コミュニケーション活動の戦略的な統合)理論の話が入りますが、実地面においてどの程度浸透しているかは別として、本書刊行時('02年)においては、こうした概念は日本の広告業界に既に定着していたように思うし、終盤にに出てくるクロスメディアという手法も、今や中堅クラス以上の総合広告代理店ならば、そうした課題を専門に扱う事業部や部門を持っており、そうした意味で目新しさはないかも。

 むしろ、それら教科書的な話より、クリエーターの視点から、ブランド構築に繋がる広告表現というものを内外の数多くの具体例を挙げて考察しているのが興味深く、文章も読み易いため、最後まで面白く読めました(著者の言わんとしていることは、継続性、一貫性、繰り返しが大事であるということに帰結するだけの話なのだが)。

wii-girl.jpg コカ・コーラの新ヴァージョン「ニュー・コーク」の失敗と、先月('09年6月)亡くなったマイケル・ジャクソン(1958‐2009)を使った「新しい世代が選ぶぺプシ」の広告(マイケルの真似をしてストリートで踊っていた子が誰かにぶつかって、見上げたら本物のマイケルだったというCMは有名)の成功などのケーススタディは定番ですが、バドワイザーやナイキなど海外のブランド広告の解説は興味深いものでした。
「Will-Girl」 Sony Will (米国)

 それにしても、この著者、ソニーを随分高く買っているなあ(反対にパナソニックには厳しい評価)。
 結局、ディズニーのようなバリューチェーン・カンパニーを目指したソニーのコンテンツビジネス志向は上手くいかなかったけれど、まあ、確かに今でもブランド価値評価はパナソニックよりは高いし、海外などで見る広告はSonyの方がPanasonicよりも断然垢抜けている...。

Death Row 2002.jpg ベネトンのクリエーターのオリビエロ・トスカーニが刑の執行を待つ死刑囚を広告に起用して消費者や死刑囚の遺族の反発を受け、ベネトンは以前からのエイズ撲滅などのメセナ広告(と言っても、これらも一筋縄ではない表現方法なのだが)に路線を戻したという話については著者の思い入れたっぷりで、思想(この場合、「死刑廃止」)や芸術を志向して商売を忘れてしまったというのは、かつてのサントリー・ローヤルのCM「ランボー」にも通じるところがあるなあと思った次第です。
TBS (2002.12放映) 「CBSドキュメント〜死刑囚広告の波紋」より
 桃屋のCMの三木のり平の声は、息子の小林のり一がやっていたのかとか、一応、全ての話が「継続性・一貫性の大切さ」という趣旨とリンクはしているのですが、その辺りあまり教科書っぽくなく、1つ1つの話そのものを面白く読みながら理解できるのが、本書の特長でしょうか。

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「ブランド」とは何かを分り易く解説。入門書ながらも多角的(ポストモダン的)視点。

ブランド―価値の創造.jpg 『ブランド―価値の創造 (岩波新書)』 ['99年]

 現代資本主義経済の特徴となっている「ブランド」(「消費資本主義社会」の特徴となっていると言ってもいいが)―その「ブランド」とは一体何かということになると、自分自身は広告会社に勤めていた経験があるのに、それでいて永らく漠としたイメージしか持ち得なかったのですが、その「ブランド」というものについて分り易く解説したのが本書で、入門書でありながらも多角的かつ深く抉った内容となっています。

ポッキー1966.jpg 所謂「ブランド商品」の話から始まり、グリコの「ポッキー」の誕生秘話を通してのブランドがいかに生成され、どのような過程を経て定着していくかの解説は、入り込み易くて分り易いものでした(ポッキーは最初はプリッツ系の位置づけだったのか、とか)。
 続いて、日清食品のカップ麺、袋麺のブランド戦略を通して、ブランドと製品の違いをより明らかにし、競合商品の逆を行った戦略で成功した花王の「アタック」の事例を通して、ブランドの生成期においてはブランド・マーケッターの果たす役割が大きいこと、そして、これら全てを通して、ロングセラー商品は偶然では生まれないことを示しています。

コカ・コーラ.jpg そして、日本企業が得意とする新製品マーケティングのティピカルなものを紹介し、「ベンツ」と「トヨタ」のブランド戦略の違いを通して、内外のブランド戦略の違いを明らかにし、更に「無印商品」というブランドを通して、ブランドの本質を更に深く考察(「無印商品」というブランドは具体的な商品としては何も示していないが、固有の意味的世界を持つと言う意味では、極めてブランドらしいブランドであると)、常に自己否定し1つのスタイルに固着しないことがそのブランドが市場で生き続ける秘訣であることを「イッセイ・ミヤケ」に見て取り、そして、ああ、やっぱり出ました「コカ・コーラ」、スタイルや機能を超えた「ブランド価値」という話になると、絶対出てくるなあ。

 ブランドの創造的側面を記号論的に解き明かし(このポストモダン的視点が著者の本領)、この辺りからやや難しく感じる人もいるかと思いますが、常に実際の商品やブランドを事例に挙げて解説を進める姿勢がここでも貫かれていて、お陰で最後まで興味深く読めるものとなっています。

 著者は、経営学、マーケティングが専門の学者で、広告代理店出身者が書いた類書などに比べて視野が広く、最後はやはり、消費社会、消費欲望とブランドとの関係についての論に向かうわけですが、この辺りはポストモダン風の社会学的論調となっているように思えました(著者自身は、「ブランド=共同幻想」論を否定し、再生し続ける商品群との相互関係において、それは実態としてあるものと見ている)。

 著者によれば、ブランドの選択とライフスタイルの選択はどちらが先かは微妙だが、あるブランドを選んだ時点で、それはその人のライフスタイルに影響を及ぼしていることは間違いないと...。
 そうだなあ、スポーツの練習が終わった後、蛇口から出る水を一気に飲む爽快感―ってイメージは、もう今は、ポカリスエットやアクエリアスを飲むCMのイメージに置き換えられ、若い人たちは実際に後者の体験しかないんだろうなあ。

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ある意味、丸々1冊、コピー的な手法で書かれた「発想法」の本。

 コピーライターの発想IMG_0593.jpgコピーライターの発想IMG_0594.jpg 土屋耕一全仕事.jpg
「A面で恋をして」資生堂CM ['81年]『コピーライターの発想 (講談社現代新書 (724))』 ['74年]『土屋耕一全仕事』 ['84年/マドラ出版]

コピーライターの発想s.jpg '09年3月に亡くなったコピーライター・土屋耕一(1930-2009/享年78)の本で、'74年刊行ですから、40歳代半ば頃の著作ということになります。

 伊勢丹とか資生堂の広告コピーは、一時この人の独壇場だったなあ。竹内まりやの戻っておいで・私の時間.jpgデビューシングルにもなった伊勢丹の「戻っておいで・私の時間」、アリスの堀内孝雄によりヒットした資生堂の「君のひとみは10000ボルト」など、CMソングがヒットチャートの上位を占める現象のハシリもこの人。大瀧永一(1948-2013/享年65))の「A面で恋をして」も、この人のコピー。「軽い機敏な仔猫何匹いるか」などの回文作家としても知られていました(そう言えば、「でっかいどお。北海道。」の眞木準も亡くなった(1948-2009/享年60))。
「戻っておいで・私の時間」(竹内まりや/伊勢丹'78年CMテーマソング)

 コピーライターという職業が脚光を浴び始めつつも、1行文章を書いてたんまり報酬を貰うナンダカ羨ましい職業だなあという偏見や誤解が勝っていたような時代に、コピーライターというのが実際にはどういった仕事の仕方をしているのか、その発想はどのようにして生まれるかを(これが結構たいへんな作業)わかり易く、また楽しく書いたものだと言えますが、そうした意味では、コピーライターや広告業界志望者へのガイドブックにとどまらず、「発想術」「ひらめき術」の本とも言え、広くビジネスに応用が利くのでは。

君のひとみは10000ボルト.jpg "ひらめき"と"思いつき"はやはり違うわけで、本書によれば、「唐突に、頭の中の風にやってくるものは、浜べに打ち寄せられる、あの、とりとめのない浮遊物と同じであって、すべては単なる思いつきのたぐいにすぎないのだ」と。

「君のひとみは10000ボルト」(堀内孝雄/資生堂'78年秋のキャンペーンソング)

 「ひらめきだって結局は頭の中に、ぱっとやってくることは、やってくるのだ。ただ、その現われたものが、ほかの浮遊物とちがうところは、それの到着をこちら側で待ちのぞんでいたものがやってくる、という、このところでありますね。ひらめきとは、じつに、『待っていた人』なのである」とのこと。何となく分る気がします。

 口語調に近い文体で書かれているのも、この頃の新書としては珍しかったのではないでしょうか。でも、こうした柔らかい感じで文章を書くというのは、本当は結構難しいのだろうなあと、読み返した今は、そのように思われました。それと、やはり"比喩"表現の豊富さ! ある意味、丸々1冊、コピー的な手法で書かれた「発想法」の本とも言えるかも知れません。

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原著出版は大正12年。アメリカにおける広告ビジネスの歴史の長さを感じた。

広告マーケティング21の原則.jpg 『広告マーケティング21の原則』 (2006/11 翔泳社)

 著者のクロード・C・ホプキンス(1866‐1932)は19世紀から20世紀にかけて活躍した広告会社の経営者で、本書は広告ビジネスのエッセンスを凝縮した貴重なテキストとして、長年にわたり、広告関係者の間で読みつがれてきたものであるとのこと―、と言っても、個人的には今回初めてホプキンスの名を知ったのですが。

18人のアメリカ広告界の鬼才.jpg 以前読んだものに『18人のアメリカ広告界の鬼才-時代を拓いた巨人たちに聞く』(バート・カミングス著/'87年/電通)という本があり、BBDOやオグルビーをはじめアメリカの巨大広告会社の中興の祖たちがズラリ紹介されていましたが、しかし、この中にもホプキンスの名はなく、考えてみれば、ホプキンスが本書を発表したのが1923年ということで、そうした広告界の巨人たちより更に一時代前の人ということになるわけだと。

 なにしろテレビCMなどなく、紙媒体がメインの時代の話なので、やや時代ズレしている部分もありますが、「広告はセールスマンシップだ」という主張を軸に、広告は消費者の求める情報を提供し、消費者に利益をもたらすものならないとし、また広告は結果(売上への貢献度)によって評価されなければならないとして、テストマーケティングや販売店経路の確保の重要性にまで言及していて、その主張は概ね現代でも通じます。

 著者自身はコピーライターの出身であり、「広告の文章は、セールスマンの話と同じように簡潔で、明瞭で、説得力のあるものでなければならない」、「イラストはそれ自体がセールスマンだ」、「人間は太陽に、美に、幸福に、健康に、成功に引きつけられる」といったクリエイティブの原則も多く盛り込まれていますが、これらもスジ論という感じ。

 やや真っ当過ぎて、正直なところ個々の主張についての印象があまり強くなかったのですが、日本で言えば関東大震災のあった年(大正12年(1923年))に、アメリカでは既にこうした広告ビジネスの手法を原理的・経験的に分析・解説する本が出版され、且つ、その内容が今でも原則的に通用することにむしろ驚き、改めてアメリカにおける広告ビジネスの歴史の長さを感じました。

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パートナーシップ、仕事に向き合う姿勢、コミュニケーションのあり方ついて多くの示唆。

Iある広告人の告白MG0589.jpgある広告人の告白.jpg     ある広告人の告白2.jpg    David Ogilvy.gif
ある広告人の告白』 (1964/04 ダビッド社)『ある広告人の告白[新版]』〔'02年版〕 David Ogilvy (1911-1999/享年88)

 オグルヴィ&メイザーを1948年に設立したデビッド・オグルヴィが'63年に出版した本で、今まで自分の手元にあったのは、広告会社アド・エンジニアーズ設立者の西尾忠久氏らが訳した'64年初版のダビッド社版ですが、この度翻訳家・山内あゆ子氏の訳による新版が刊行されました。

 新版のための前書きがあるのと、著者の経歴が多少以前より詳しく書かれているほかは(この本は著者がパリのホテルで菓子職人をしていたときに学んだことから始まりますが、そのほかに家庭用コンロの販売員もしていたらしい!)内容構成は同じであるものの、訳がかなりこなれて読みやすくなっているのと、専門用語が多少現代風になっています。

 広告ビジネスに携わる人にとってはとりわけ示唆に富んだ内容で、前半部分は主に経営者や営業(アカウントエグゼクティブ)に対するアドバイス、後半はクリエイターに対するアドバイスになっており、個人的には、その間にある「よいクライアントであるために」(新版では「クライアントに贈る『15のルール』)とか、「キャンペーンを成功させるためには」などがなかなか良かったです(冒頭の「広告代理店の経営のしかた」において、行動規範をキッチリ示しているのもいい)。

 「私は、手放すと困るほど大きなアカウントを欲しいと思ったことはありません」とありますが、海外の広告代理店はAE制、つまり1業種1社の専任制なので、もともと売上げの割にはクライアント数が少なく、主要クライアント1社への依存度が高くなると、他社へ扱いを持っていかれたときに危険だということでしょう。

 この本が書かれた時点で、オグルヴィ社は社員497人の国内企業でしたが、'07年現在、世界125カ国に497のオフィスを持ち、当事の社員数が今のオフィスの数になったのだなあと。
 本書を読むとクリエイティブについて特出しているのがわかり、一方メディア手数料で仕事はするなと言っていますが、実際オグルヴィ社はメディア購買部門を持っていません。
 米国にはメディアバイイングを専門に行う会社があるので(まとめ買いする代理店が一番強いということ)、こうした業態は必ずしもオグルヴィ独自のものではなく、今後は日本でもこうした動きがあるかも。
 クライアントの広告表現の統一などブランディング戦略による利用広告会社の絞込みは海外でも日本でも進行していて、そうした意味でも今読んで全然古くない内容です。

 ただし、そうした広告に関することに限らず、ビジネス全般に通じるパートナーシップや仕事に向き合う姿勢のあり方、「聞き役に回れば回るほど"敵"にはあなたが賢く見える」といったビジネス・コミュニケーションについてのヒントなど、多くの示唆を含んだ良書です。
                        
《読書MEMO》
● 「よいクライアントであるために」(「クライアントに贈る『15のルール』」)
(1) あなたの代理店を恐怖から開放しなさい(いつも新しい代理店を探している様子をみせないこと)
(2) 最初から適切な代理店を選びなさい(新規取引専門部隊に騙されない)
(3) あなたの代理店に適切な情報を与えなさい
(4) 金の卵を生むニワトリを大切にしなさい(有能クリエイティブに金を惜しむな)
(5) クリエイティブの領域で代理店と競争しないでください(餅は餅屋に)
(6) 検討段階を多くして広告をゆがめないでください
(7) 代理店の利益を保証してやりなさい
(8) あなたの代理店にケチをつけないでください
(9) 率直にものを言い、また言われるようにしてください
(10) 目標を高いところに置いてください
(11) すべてをテストしてください(新製品は25のうち24までテストマーケティングで失敗している)
(12) 急いでください(利益は時間函数である)
(13) 問題児に時間を浪費しないでください
(14) 天才は寛大に扱ってやってください(彼らはほとんど例外なく気に食わない連中)
(15) 広告費を少なすぎないようにしてください
●「キャンペーンを成功させるためには」(「成功する『広告キャンペーン』とは?」)
(9)自分自身の家族に読ませたくないような広告は書かないこと(オグルヴィ・ジャパンのホームぺージにもこの言葉がある)

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ネーミング企画者必携だが、普通にパラパラ読んでも雑学的に面白い。

13か国語でわかる新・ネーミング辞典.jpg13か国語でわかる新・ネーミング辞典』 ('05年) 最新ヒット商品をつくるネーミング辞典.jpg 最新ヒット商品をつくるネーミング辞典 8か国語対照.jpg 『8か国語対照 最新ヒット商品をつくるネーミング辞典』 ('91年新書版/'00年改訂版)

 様々なジャンルのキーワード3,550語についての〈英・仏・独・伊・西・希・羅・露・葡・蘭・中・韓・刺〉の13か国語対照辞典ですが、最後の「刺」って何?

 本書の前身として、ネーミング用キーワード3,500語を分野別に配列した、英語、仏語、独語、イタリア語、スペイン語、ギリシャ語、ラテン語、ロシア語の8カ国語対照の『ヒット商品をつくるネーミング辞典』('91年初版・'00年改訂版/学習研究社)があり、個人的にはネーミングにも使用しましたが、普通に辞書として使ったりもし、あとはパラパラめくって読んでいるのが結構楽しいという感じでしした。

 その後PART2として、英語、ポルトガル語、オランダ語、中国語、韓国語、アラビア語の6か国語対照のものが'03年に出されており、今回はその2冊を合体させたもので、本のヴォリュームとしては従来の1冊分とさほど変わらず、分野別から50音順になり、別に分野別索引もあり使いやすくなっています(「刺」はアラビア(亜剌比亜)語だった)。

 エスペラント語が無いとか、アジア系言語をもっととか、いろいろな要望はあるかも知れませんが、ネーミング企画をする人にとっての商業ネーミングにおける最大公約数的需要は満たしているので、必携ではないでしょうか。
 一般の人が雑学的興味で読んでも、なかなか面白いのではと思います(言語学に興味のある人ならなおのこと)。

 今回「ヒット商品をつくる」というのがタイトルから消えていて、巻末付録に〈名づけに使える日本の古語&方言〉を収録しているところをみると、子どもやペットの名付けに『ヒット商品をつくる〜』を使った人が結構いたのかなあ。
 そのためにわざわざ辞典を買うの?という声もあるかもしれないけれど、自分の会社を創るときに買ったという人もいますから、使う回数の問題ではなく、思い入れの大きさの問題でしょうね、きっと。

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ネーミングの実践的な手法解説と併せて、新たな発見が満載。

ネーミング発想法3.JPGネーミング発想法.jpg  『ネーミング発想法』 日経文庫 〔'02年〕

 コピーライターの書いたネーミングの本というのは職人芸を披露しているようなところがありますが、本書は日経文庫らしく(?)、ベーシックな入門書という感じです。
 
 「DoCoMo」「au」「BIGRLOBE」などのネーミング開発を手掛けた「ジザイズ」という会社(この会社名がネーミングの法則から外れて濁音を敢えて多用しているというのが面白い)の社長である著者は、ブランド戦略の第一歩としてネーミングを位置づけ、造語メカニズムを解き明かし、商標登録など権利問題にも触れています。
 ですから、本書で「方法」を知ることができても、「発想力」がつくかどうかは別の話だと思います。
 
 ただし、本書の中核を成す、「方式に則って造語する『言葉の発明』」、「辞書の中から見つけ出す『言葉の発見』」、「視点を変えたネーミング発想法」の各章は、たいへん面白かったです。
 実践的な手法の解説と併せて、「クルマの名前ってこんなにラテン系言語が多いのか」といった新たな発見が満載です。
 そう言えば、著者も大阪外大のイスパニア語学科出身でした。

《読書MEMO》
●ネガティブミーニング(カルピス、モスバーガー、クリープ...)(37p)
●混同されやすい3文字(UFJ (United Financial of japan) とUSJ)(72p)
●雑誌名...サライ(ペルシャ語で「宿」)、じゃらん(インドネシア語で「道」(77p)
●乗用車(98p)...
 ラテン語...アルデオ(輝く)、イプサム(本来の)、プリウス(より前に)
 スペイン語...セフィーロ(そよ風)、ドミンゴ(日曜日)、エクシード(盾)
 イタリア語...アルテッツァ(高貴)、ジータ(小旅行)、ピアッツァ(広場)

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読みやすいが、一般の人が応用するのは難しい面も。

すべてはネーミング.gif  『すべてはネーミング』 光文社新書 〔'02年〕

 "売れる"ネーミングとは何かを、自らの経験をベースに、読みやすい語り口で説いています。また、ネーミングの"売り込み"におけるプレゼンテーションの重要性にも触れていて、広告宣伝の世界を垣間見ることができます。
コピーライターの発想2.jpg
 以前に、業界の草分け的存在である土屋耕一氏の『コピーライターの発想』('84年/講談社現代新書)という本を読んで、なかなか面白かったのですが、土屋氏の弟子第一号を自認する著者も、すでにベテランの域に(何だか職人の系譜という感じ)。

 「11PM」の企画で「ふんどし」に名前をつける話などは面白いけれど、ちょっと年代を感じます。
 洗濯機の「からまん棒」や新宿「MyCity」、雑誌「saita」などもこの人の仕事。
 六本木ヒルズに新規出店('01年11月)した食品スーパーマーケット(FOO:D magazine)のネーミングの話もあります。
 本書にはありませんが、「新生銀行」「JAL悟空」なども著者が手掛けたもので、トップランナーとしての息の長さを感じます。

 都市型スーパーマーケット「FOO:D magazine」のそのネーミングに至るまでの話は、名付け作業以前のマーケティングの重要性を感じました。
 西友が展開する店ですが、店舗内に「SEIYU」のロゴは一切使われてませんね。この高級スーパーは。

 それと、特に感じるのは、近年の仕事に共通する、ロゴなどのビジュアルの重要性でしょうか。
 こうなってくると、専門家と職人のコラボレーションの世界で、興味深くはあるものの、一般の人が応用するのは難しい面もあるかもしれません。

、体系的な入門書ではないけれど、こうした本をキッカケにコピーライターを目指す人もいるのだろうなあという気はしました。

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ボードの一員としてその場にいるような臨場感。コーラ戦争は終わっていない。

20040529.jpg           The Other Guy Blinked.jpg  enrico_sm.jpg Roger A. Enrico, PepsiCo
コーラ戦争に勝った!』 新潮文庫 〔'87年〕/"The Other Guy Blinked: How Pepsi Won the Cola Wars"

 後にペプシコ社会長となるロジャー・エンリコは、コーラ業界において、'70年代から激しさを増して「コーラ戦争」とまで呼ばれたコカ・コーラとの覇権争いの最中にペプシコ社社長に就任しますが、本書は彼が、その挑戦意欲・決断力とリーダーシップ、さらには徹底したマーティング戦 略により、シェアの奪回を果たした過程が描かれています。

 今もって示唆に富む内容ですが、翻訳がいいのか(常盤新平氏訳)、読んでいて自分がペプシコのボードの一員としてその場にいるような臨場感があり、読み物としても楽しめました。

 本書冒頭にあるように、敗れたコカ・コーラ社は方針転換し、'85年に〈ニュー・コーク〉を発表しますがこれは不評に終わり、僅か90日で元の味に戻しています(ただし、素早い決断をしたゴイズエタ会長は、後にその素早さゆえに名経営者と言われた)。

Pepsi Michael.jpg マイケル・ジャクソンのCM起用が本書終盤のヤマで、契約を結ぶことが出来た時点でエンリコはペプシの勝利を確信したフシがありますが、当時のマイケル・ジャクソンは、今のように大衆の好悪が割れるようなキャラクターイメージではなく、圧倒的な国民的スーパースターだったということでしょう(今でもポップス・ファンにとってスーパースターであることには違いないが)。

Michael Jackson Pepsi Generation

 CMによるイメージ戦略の威力は、コーラ以上に味そのものの識別が微妙なビールの業界における、アサヒスーパードライの成功を想起させます(飲料商品というのは多分にイメージ商品なのだなあと)。

ペプシネックス.jpg ペプシとコカ・コーラの売上げシェアが拮抗しているアメリカではともかく、日本ではシェアは圧倒的にコカ・コーラの方が勝っているので、その点では本書の内容は少しピンとこない部分もあるかも知れません。
 その後ペプシコは、日本での事業をサントリーに売却していますが、マーケティングやR&Dと原液供給はアメリカ本社主導で行う〈ボトリングシステム〉を維持していました。しかし日本でのシェアの伸び悩みは続き、ついに〈完全ボトリングシステム〉の方針を変更し、サントリー主導で開発した日本向けブランド「ペプシネックス」を今年('06年)になって発売しています。     
 このように、「コーラ戦争」はまだまだ続いているという感じですが、ペプシのCMも、'04年に作られたBritney Spears、Beyonce、P!NK、Enrique Iglesias出演の「We Will Rock You」に見られるように、派手さを一層に増している感じがします。

PEPSI Commercial (CM) - We Will Rock You [Britney Spears(中央), Beyonce(左), P!NK(右), Enrique Iglesias]

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