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ジョブズのカリスマ的プレゼンの秘密を、フツーの人が共有できるよう具体的に解明している。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン.jpg   The Presentation Secrets of Steve Jobs.jpg  ガロ.jpg Carmine Gallo
"The Presentation Secrets of Steve Jobs: How to Be Insanely Great in Front of Any Audience"
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』['10年/日経BP社] 

 '11年10月にスティーブ・ジョブズが56歳で亡くなった際に、ジョブズ関連本がどっと出ましたが、本書は、ジョブズが亡くなる前の年に刊行されたもので(原著"The Presentation Secrets of Steve Jobs"の刊行も'10年)、個人的には久しぶりの読み返しでしたが、大体、ジョブズ本は、ジョブズが亡くなる前に刊行されたものの方が、ジョブズの死に伴って急遽刊行されたものより翻訳がしっかりしているようにも思います。

 本書は、ジョブズのカリスマ的なプレゼンテーションの秘密を具体的に解明したもので、確かに、ビジョンを誰にでも分かる言葉にしてみせ、多くの人が望むところの自らがありたい姿を明確化することで、周囲を巻き込んで大きなうねりを創り出す、カリスマに不可欠な条件をジョブズが携えていたことは、本書を読んでもよく分かりますが、一方で、プレゼンテーションにおいて彼が周到な準備をし、効果的なプレゼンを行うための細心の準備と最大限の努力を怠らなかったこともよく分かりました。

 本書の優れている点は、ただジョブズを礼賛するのではなく、彼のプレゼンの技法を一般論に落とし込んでいるため、ジョブズの評伝と言うよりもプレゼンのテキストとして読めることであり、また、お手本にしているジョブズのプレゼンのやり方が、決められた方針に則って徹底しているものであるために、その分、退屈な教科書に止まらず、インパクトのある啓発を含んだものとなっていることかと思います。

 本書が紹介しているプレゼンテーションのポイントは、ジョブズが実際に行った数々のキーノートをベースにしているとのことで、「ストーリーを作る」(シーン1~7)、「体験を提供する」(シーン8~13)、「仕上げと練習を行う」(シーン14~18)、という"3幕"構成の中で、「人を惹きつける18の法則」(18シーン)について述べられていますが、個人的にも、どれをとっても啓発される要素の多いものでした。

 その中には、なぜあなたのプレゼンテーションを気に掛ける必要があるのかという「一番大事な問いに答える」(シーン2)という根源的な問題から(そのために、聞き手の悩みや喜びのツボは何か、まずは想像力を逞しくして、紙にペンを走らせてみようとある)、「救世主的な目的意識を持つ」(シーン3)といった壮大なもの、「ツィッターのようなヘッドラインを作る」(シーン4)といったテクニカルなものまで含まれていて、更に「ヘッドラインは70文字以下」といった具体的手法にまで落とし込まれていたりします(原著で「140文字以内」とあるのを、訳者の井口耕二氏が日本語換算しており、こうした翻訳も親切)。

 「ロードマップを描く」(シーン5)にある、要点を3点に纏める「3点ルール」や、ジョブズ自身がマッキントッシュ発売の時に用いた(有名な"1984"のプレゼン)「敵役を導入する」(シーン6)、「正義の味方を登場させる」(シーン7)という手法にも、なるほどと思わされるものがありました。

 「禅の心で伝える」(シーン8)では、箇条書きで文字がずらっと並ぶパワーポイントのテンプレートの問題点、余白や画像・写真の効果を説いており、また「『びっくりするほどキレがいい』言葉を使う」(シーン10)では、言葉はシンプルで具体的であることが重要であることを具体例で説明しいて、忘れられないプレゼンにするためには「『うっそー!』な瞬間を演出する」(シーン13)というのも、フツーのプレゼンの教科書には書いていないことではないでしょうか。

 「存在感の出し方を身につける」(シーン14)、「簡単そうに見せる」(シーン15)、「目的に合った服装をする」(シーン16)などを読むと、ジョブズのプレゼンが天性の才能の導くままに恣意的に行われていたものではなく、精緻な計算のもとに周到な準備を経てなされていたものであることがよく分かり、だからこそ「台本を捨てる」(シーン17)ことが可能であり、またジョブズ自身、プレゼンを「楽しむ」(シーン18)ことが出来たのだなあと。

 とにかく啓発的であると同時に具体的に書かれているので、重要なプレゼンに際して、資料作成に入る前や出来上がった資料の効果をチェックする時、あるいはプレゼンのリハーサルを行う際に改めて一読するといいかも。

 ジョブズの病状が回復の見通しが立ちにくく、彼の新たなプレゼンを聴く機会はそう訪れないかもしれないという状況で書かれた本でもあり(著者自身は本書刊行後の'10年10月に "Back to the Mac"と題した彼の新製品の紹介のプレゼンを聴いたそうだが)、ある意味、彼の"遺産"を、カリスマではないフツーの人が共有化できることを意図した本でもあるように、個人的には思いました。お奨めです。

《読書MEMO》
●人々を惹きつけるプレゼン 18の法則
第1幕 ストーリーを作る
 シーン1 構想はアナログでまとめる
 シーン2 一番大事な問いに答える
 シーン3 救世主的な目的意識を持つ
 シーン4 ツイッターのようなヘッドラインを作る
 シーン5 ロードマップを描く
 シーン6 敵役を導入する
 シーン7 正義の味方を登場させる
第2幕 体験を提供する
 シーン8 禅の心で伝える
 シーン9 数字をドレスアップする
 シーン10 「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
 シーン11 ステージを共有する
 シーン12 小道具を上手に使う
 シーン13 「うっそー!」な瞬間を演出する
第3幕 仕上げと練習を行う
 シーン14 存在感の出し方を身につける
 シーン15 簡単そうに見せる
 シーン16 目的に合った服装をする
 シーン17 台本を捨てる
 シーン18 楽しむ 

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分かり易いけれど物足りない?

勝つプレゼン 負けるプレゼン.jpg 『勝つプレゼン 負けるプレゼン (PHPビジネス新書)』['11年]

 「準備6割、本番3割、振り返り1割」―これが、プレゼン成功と上達の秘訣であるという考えの下に、何がプレゼンの良否を分けるのかが分かり易く解説されています。

 プレゼンにおける基本的なことをよく網羅しており、とりわけ「準備」にフォーカスして書かれていますが、「何を感じてほしいか」 をよく考え、「準備で目的を明確にする」ことは確かに重要だなあと。流暢に話すことばかりに気を取られるなという考えには共感しました。

 そうした「準備」の段階でのコンセプチュアル・ワークのポイントについて、「本番」での質疑応答などを想定しながら解説しているのは、一つの解説の「方法論」として分かり良かったように思います。

 ビジネスの場では、日々の業務で他者と関わる行為の全ておいてプレゼン能力が求められるとしながらも、タイトルからも窺えるように、新製品や企画の提案・コンペティション(他社競合)といった"勝負所"を想定して書かれているように思いました。

 その割には、「本番」の解説などは、かなり初歩的なレベルだったかも。管理職昇進試験などで、普段やったことのないプレゼンをやることになった人には応用的に役立つかも知れないけれど、広告代理店などで常日頃から競合プレをやっている人などにとっては、特に目新しい知識や見方は得られないかも知れません(「知っている」というのと「出来ている」というのは違うことであるとは思うが)。

 目新しいことに奔る前に、まず基本を押さえるということは大事なことなのだろけれども、プレゼンの際の服装などの解説は、殆どビジネスマナーの世界のような気もしました。

 基本書としては良書だと思いますが、そうした意味では物足りない感じもあり、著者は「研修女王」と呼ばれているそうですが、どちらかと言うと、著者自身が「コンペティション型」「企画提案型」というより「セミナー講師」型ではないでないかとの印象を受けました。

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同じような本が無いために、いまだにロングセラーであり続ける...。

プレゼンテーションの説得技法.bmp 『プレゼンテーションの説得技法(テクニック)』 ['89年] レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術.jpg 『レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術 (講談社現代新書)』 ['05年]

 プレゼンテーションにおける効果的なビジュアル・ドキュメントの作り方をわかり易く解説したもので、マニュアル的に使えるせいか、'89年という旧い刊行ながらも、いまだにロングセラーとなっている本です。

 各種グラフやチャートの特徴と有効な使用例を、解説編とサンプル編にわけて多くの事例を用いて指し示すだけでなく、シートのサイズやレイアウト、文字の大きさから始まって、チャートに入れる文字の字数や行数、囲み罫からの距離まで示していて、実際のプレゼン場面でのテクニックや留意点、例えばスライドを映すスクリーンの適切な高さなどということまで記されており、まさに至れり尽くせり。

 そう、この頃はまだ、切り張りして図や資料を作り(網目模様やカラーのセロファンをカッターで切って棒グラフの枠内に糊で貼り付けていたりしていた)、OHPシートにコピーするなどしてスライド化し、それをOHPで映すということがまだまだ一般に行われていたなあと(これ、藤城清治か?というような、凝ったプレゼンを見たことがある)。

 でも、この本が地味ながらも売れ続けているのは、結局、ビジュアル・ドキュメントの作成の基本は変わっていないということと、網羅している範囲の広さやサンプルの多さ、ワンポイントのアドバイスの的確さなどにおいて、同じような本がその後、手頃なところでは殆ど出ていないということもあるのではないでしょうか。

 近年の同系統のものでは、大学でプログラミングを教えている先生が書いた『レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術』('05年/講談社現代新書)がありますが、その本にしても、エクセルの使用をベースに書かれている分、グラフの作り方だけで1冊終わってしまっていて、知っていることは既に知っているし、知らないものは、あまり使いそうもないものだったりし、確かにアプリケーションのマニュアル本よりは実戦的ですが、本書ほどの"至れり尽くせり"感はありませんでした。
 ハンドブックとして役立つかもしれませんが、「新書」(横書き)という体裁が目新しいだけで、「新書」に限らなければ(新書にもあるが)、類書はいくらでもあるように思えました(評価★★☆)

 『プレゼンテーションの説得技法』は、富士ゼロックス内のプロジェクトが編纂したもので、アプリケーションのマニュアル本の範囲を超えた、こうしたビジュアル・ドキュメント作成に関する分野というのは、オブジェクトの作成とプレゼンの実施の間にある、ある意味"隙間"であり、意外とそれ自体を専門としている人がいないのかも。

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「情報の整理が出来なければセンスはうまく働かない」には共感。

情報を見せる」技術.jpg  『「情報を見せる」技術』 光文社新書 〔'03年〕  中川佳子.jpg 中川佳子 氏 (略歴下記)

 本書は副題に「ビジュアルセンスがすぐに身につく」とあり、色彩デザインなどのビジュアル、つまり情報伝達の技術的方法論を具体的に論じていて、これは新書本の中では珍しいのではないかと思います。
 
 著者はNHK特集「驚異の小宇宙・人体」でCGを担当するなどのプロですが、本書はPowerPoint などを使った一般的なプレゼンを想定して書いていて、細部はやや専門的ですが、大筋ではそれほど"理解する"のが難しいものではありません。テクニックとは活用の機会さえあれば"実際に使える"もので、知っておくに越したことはないと思います。

 個人的には前半部分の、「センスは学べる」ものであるが「情報の整理」が出来なければセンスはうまく働かないという箇所に共感しました。「情報」には"収集"と"活用"の2つのレベルがあるということ、つまり、イメージを広げるための情報と、イメージに具体性を与えるための情報があるというのです。
 
 拙いプレゼンの多くに、発表者が自らのイメージを広げるために収集した情報がそのまま盛り込まれていて、それが受け手がイメージをつくる際にむしろ妨げになっていることがあるなあと、自分がやったプレゼンも含め、今更ながら思った次第です。
_________________________________________________
中川佳子
CGクリエーター/株式会社アイ・コム代表/武庫川女子大学助教授
1984年つくば博松下館CG制作。1986年よりNHK特集「人体」プロジェクト参加。1992年よりNHK『音楽ファンタジー夢』のオリジナルCG作品制作。2000年連続テレビ小説『オードリー』(NHK)タイトルCG制作などTV番組、展示映像、ゲーム等、CG制作を手がける。
1985年日経CGグランプリゴールド賞、1994年SIGRAPH VIDEO REVIEW収録。著書に『情報を見せる』『技術-ビジュアルセンスがすぐに身につく-』(2003年、光文社)。

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プレゼンを総体的に把握。欠点もあるが、得るところが大きかった。

プロフェッショナル・プレゼンテーション.jpg 『プロフェッショナル・プレゼンテーション』 (2003/02 東洋経済新報社)
                                    
◆プレゼンテーションの全体像 (まとめ)
0701000331.jpg 本書ではプレゼンテーションの構成を「コンテンツ」と「デリバリー」に分け、さらに前者を「ストーリーライン」と「ビジュアルエイド」に分けて考え方や技法を提示しています。
 「コンテンツ」とは言うまでもなく、中身をどう作るかということであり、「デリバリー」とはオーディエンス(聞き手)にどう届けるか、つまりどう発表するかということですが、この構成を最初に示すことで本自体の全体像が掴みやすくなっていて、また"説得的プレゼンテーション"という概念提示をすることで内容がシャープになっています。 

 世の中には企画の書き方の本も、Power Pointの使い方の本も、発表の仕方の本も多くあり、それらは本書で言うところの「ストーリーライン」、「ビジュアルエイド」、「デリバリー」にそれぞれ該当するわけですが、3つ揃って初めてプレゼンテーションと言えるはずなのに、こうした3つ揃えてしっかり解説した本を今まで見かけなかったのが不思議です。

◆ストーリーラインをつくる (まとめ)
070201.jpg 「ストーリーライン」構築の説明部分が特にしっかりしていて(〈演繹法〉と〈帰納法〉の部分など一部において説明がやや"くどい"部分もありましたが、人事企画やコンサルティングなどの実務でも念頭に置くべきことが多く記されているように思いました。
 
 最終章「デリバリー」部分(高橋氏の執筆部分)が口述筆記か書き流しという感じでいかにも"箔付けのための名前貸し"という印象を受けるなど、いくつか欠点もありますが、全体としてそれを補うだけの得るものがある本でした。


《読書MEMO》
●プレゼンの構成=コンテンツ(ストーリーライン・ビジュアルエイド)とデリバリー
●コンテンツ作成の流れ= キーメッセージの明確化 → 論理構築 → 根拠の証明 → ストーリー設計 → ビジュアル作成
●MECE(ミーシー)...モレがなくダブりがない(42p)
●政策メッセージの3つの根拠=必然性・効用・実現可能性(68p)
  

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豊富なカラー図解。「説得する」ということを常に念頭に書かれている。

説得できるプレゼンの鉄則 PowerPoint上級極意編.jpg 『説得できるプレゼンの鉄則 PowerPoint上級極意編―勝負をかけるプレゼン資料はこう作る

 マイクロソフトの PowerPoint がプレゼンテーションの標準ツールになって久しい今日、仕事上、使えないよりは使えた方が良いに決まっています(ディレクティブな立場にある人でも、大事なプレゼンの直前に、何が修正可能で、何が難しいかを知っておいてくれた方が、スタッフの方もありがたい)。

 本書は、実習用CD-ROM付きであることもさることながら、全頁カラーで図解も豊富、マニュアルによくある味気なさが無く、また「勝負をする」「差を付ける」「説得する」ということを常に念頭に置いて書かれているので、マニュアル嫌いな人でも、読み物としてざっと読んでみるといった入り方ができます。

 「上級極意編」とありますが、マニュアルとしては中級レベルとみていいのではないでしょうか。
 デザインや色彩の用い方についての解説が詳しいのが特長ですが、Officeデータの貼り付け方の解説などはよく整理されていると思いますし、「プレゼン成功の鍵」などの囲みコラムにも、役立つ知恵が簡潔に述べられています。

 個人的には、上達への道は、まず使ってみること、そしてやはり、いろいろな場で PowerPoint を使ったプレゼンに接してみるのが良いのではとないかと思います。「あのテクニック自分も使いたい」みたいな気持ちが、習得意欲につながるのではないでしょうか。

説得できるプレゼンの鉄則 POWER POINT上級極意編 第2版.jpg【2009年第2版】 『説得できるプレゼンの鉄則 POWER POINT上級極意編 第2版

《読書MEMO》
●章立て
第1章 勝負をかけるプレゼン資料作成法
第2章 デザイン・レイアウトで差を付ける
第3章 カラー化で差を付ける
第4章 Officeデータ活用で差を付ける
第5章 マルチメディア活用で差を付ける
第6章 アニメーションで差を付ける

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プレゼン直前にセルフチェック用として使える本。

「分かりやすい説明」の技術32.JPG「分かりやすい説明」の技術.jpg 分かりやすい説明の技術.jpg  『「分かりやすい説明」の技術』講談社ブルーバックス〔'02年〕

 著者のブルーバックスにおける「分かりやすい」シリーズ3冊のうちの1冊で、 この本の前後に、『「分かりやすい表現」の技術-意図を正しく伝えるための16のルール』('99年)、『「分かりやすい文章」の技術-読み手を説得する18のテクニック』('04年) がそれぞれ出ています。

Business man and women clapping their hands after a good presentation.jpg 何れもスラスラ読めて、書いてあることも至極まっとうです。それで、いざ実践場面になると、すでにやっていることはやっているし、分かっていてもできないことはなかなかできない、という感じではないでしょうか。 

 著者はこのブルーバックスのシリーズを書いているときは、まだ"勤め人"だった人で、現場感覚というものがわかっている人が書いているなあという感じがします。

 さらに、このシリーズ3冊の特長は、著書自体が「分かりやすさ」の実践になっていることです。「読み返しチェック」が楽にできます。そうした意味では、プレゼンテーションをテーマとした本書「説明の技術」が、プレゼン直前の時間の無いときの自己チェック用として最も使えると思いました。
 
 プレゼンテーションの準備って、時間が無いときほど、ついコンテンツの修正に最後にまでかかりきりになり、こうしたわかりきっているはずの〈説明〉の技術についての基本事項がおろそかになりがちですから。

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明日プレゼンを控えた人が読んでも役に立たないのでは。

人を動かす! 話す技術.jpg人を動かす! 話す技術』PHP新書〔'02年〕 sugita.jpg 杉田 敏 氏(プラップジャパン副社長) 

070110.jpg 著者はNHKラジオ「やさしいビジネス英語」の講師として知られるとともに、外資系のPR会社の副社長でもあります。
 ですから、基本的にはプレゼンテーションの本でありながらも、コミュニケーションということを広く捉え、その中での広告、オンライン、対面、媒体を使った様々なコミュニケーションの、それぞれのポイントの説明がなされており、内容的にも的を射ています。
 
 また、送り手(S)からメッセージ(M)がチャネル(C)を通して受け手(R)に流れるだけでなく、そこに受け手がアクションを起こすという効果(E)が生まれなければならないとする「SMCRE理論」や、エトス(信頼)、ロゴス(論理)、パトス(感情)からなる「説得の3要素」の説明もわかりやすいものでした。

 「エトス」による説得とは話し手の人格や資質により相手の信頼を得るものであり、「ロゴス」による説得とは論理を積み重ねて相手を納得させるもの、「パトス」による説得とは聞き手の感情に訴える説得ということで、哲学者アリストテレスが定義した「成功するコミュニケーション」が典拠であることは知られているところです。
 この中で「エトス」を重視しているのは、米国のコミュニケーション学の潮流を引いたものだと思いますが、「ロゴス」第一主義だった米国人の反省が、「パトス」重視の日本人にも生きるという"妙"を感じました。

 自らの豊富なビジネス経験やアイアコッカ、ブッシュのエピソードまで引き合いに出しての話には引き込まれます。
 ただ個人的には、プレゼンに役立つかなと思って本書を手にしたため、その部分ではたいしたことは書いてない不満が残りました。明日プレゼンを控えた人が読んでもそれほど役に立たないのではと思います。

 日本の経営トップやリーダーと呼ばれる人は、もっと表現訓練をした方がいいのかも、という感想のみが残りました。
 それが、"メディアトレーナー"でもある著者の狙いだったのかも。

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相手との共感的一致を得るための信頼関係(ラポール)形成の重要性を強調。

プレゼンテーションの技術―言葉だけでは人を動かせない.jpgプレゼンテーションの技術―言葉だけでは人を動かせない』(1987/06 TBSブリタニカ)

 大手広告代理店・博報堂の営業部長が書いたプレゼンテーションの本で、'87(昭和62)年の刊行と少し古いですが、刊行当時はかなり読まれたようで、続編も出ました。

 タイトルに「技術」とあり、ましてや広告代理店勤務のスペシャリストによるものであるため、テクニック一辺倒の内容かと想像しがちですが、確かにプレゼンのテクニック的なことにも触れられているものの、全体を貫くのは「"プレゼン心"とは何か」ということで、相手との共感的一致を得るためのラポール(信頼関係)の形成の重要性を強調しています。

 情報収集やリハーサルも大切ですが、相手の課題をしっかり把握しなければ共感的一致は得られず、相手の立場になって考えることができなければ「ラポールの世界」は構築されない、そうした前提があっての情報収集やリハーサルであることを忘れてはならず、また導入部分のきっかけづくりというのも大事であるという、何れも著者が現場で感じ取ったプレゼンの核心が伝わってくるような内容です。
 
 実際に著者が経験したビジネス・プレゼンテーションの事例が多く紹介されているとともに、著者自身が「"プレゼン心"とは何か」ということを探るために、業界内のプレゼンの名人と言われる人だけでなく、トップセールスマンや建築家などと接し、教唆を得たことをひとつひとつポイント整理していて、読みやすい内容です。

 ちょうど広告業界の専門用語だった「プレゼンテーション」という言葉が広くビジネスの場面で使われるようになり始めたころのもので、さらに日常生活のあらゆる局面でプレゼンテーションというのものが役に立つということ著者は示しています。

 冒頭に、ポール・ニューマンにクルマのCMへの出演を依頼し(これ、スカイラインですね)、困難な状況下で彼を口説き落とした経験が書かれていますが、これなども相手はポール・ニューマン1人で、プレゼンテーションといのは必ずしも大人数の前でやるものとは限らないということが分かり、ビジネスの(時として生活の)あらゆる場面がプレゼンの場になりうることを物語っていると思いました。

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楽しく読めて役に立つプレゼンに関する100のアドバイス。

プレゼンテーション必勝テクニック.jpg 『プレゼンテーション必勝テクニック』(1986/10 プレジデント社) presentation business.jpg

 原著タイトルは"How to Make Effective Business Presentations-And Win!"('83年)で、英国の「話し方教室」の先生が、プレゼンテーションにおける話し方のコツなどをまとめたものですが、効果的プレゼンテーションとは何かということを、その準備の段階から説き起こし、〈かゆい所に手の届く記述〉や〈即効ノウハウ〉も多くて、得られるところ大でした。

 細かいテクニックもいろいろ紹介されています。「上着を脱ぐのが適切である場合もある」(60p)などいうのは、自分自身もプレゼンの研修で教わったなあ。聴衆が、これから大事なことを話すのかなって気になるのですね(外国人がこういうのをナチュラルにやるのがうまい)。「理解しにくい言葉で聞き手をバカにしない」(110p)というのも大事だと思います。専門用語を多用しすぎると、そのつもりがなくても、聞き手がバカにされているように感じてしまうことがある。 

 MAP理論
MAP理論.jpg それと、本自体が面白く読めるというのもいいです。例えば〈MAP理論〉というのを紹介していて、聴き手の座る位置によってその態度は決まるという。話し手から見て向かって左側に座るのが支持派、同意しそうもない人は右側に座り、プレゼンをメチャクチャにする人がいるとすればその真中あたりにいる。正面に座る人は"男爵"と呼ばれ、話し手が良ければ理性的だが、ダメだと思うと話し手にとって代わる。右列後方の壁際にいるのは"狙撃兵"で、仲間外れにすると銃弾を撃ち込んでくる...。

 〈MAP〉は May's Audience Positioning の略で、要するに〈MAP理論〉とは著者が勝手に創った理論だとわかりますが、何となく当たっているような気がして面白いです。要するに「聴衆の全員が話し手に好意的であるとは思わない方がいい」というアドバイスなのだというふうに、自分自身は解釈しました(でも、実感としても結構あてはまる?)。こうした機知とユーモアに富んだアドバイスが、あと99個あります。

 既に古書の部類に入る本ですが、最近読んだ『プレゼンなんて怖くない!―アメリカ人が教えるプレゼンテーションの秘訣53』(ロッシェル・カップ著/'06年/生産性出版)などと比べても、こっちの方が中身がずっと濃いと思いました。

《読書MEMO》
●MAP理論(44p)
・プレゼンをする人から見て左側に座る人は右派、保守的、支持的な「いい子」
・支持しない人たちは、向かって右側に座る、その真ん中に「ぶちこわし屋」
・プレゼンをする人の真正面に座るのは中立者「男爵」、社長がよく座り、プレゼンテーター(=「王様」)が頼りないときは自分がとって変わる
・向かって右列の奥にいる人は聞き手になろうとしない人「狙撃兵」

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