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製品写真が豊富で、記事も充実。エディトリアル・デザインが優れている。

The History of Jobs & Apple 2.jpg      The History of Jobs & Apple3.jpg
The History of Jobs & Apple 1976〜20XX【ジョブズとアップル奇蹟の軌跡】(100%ムックシリーズ)

 雑誌「MAC LIFE」の版元による特別編集の大判ムックで、昨年('11年)8月の刊行、2ヵ月足らず後のスティーブ・ジョブズの死が想定されていたかのような、彼の人生の振り返り及びアップルの歩みの振り返りとなっています。

The History of Jobs & Apple.jpg Mac製品の写真が、内容的にも点数的にも充実していて、それらが綺麗に配置されており、全体的にみても、ジョブズ自身の写真も充実しているばかりでなく、編集デザイン的にも美しい構成。更には記事も充実していて、「MAC LIFE」の執筆・編集・デザイン陣の総力結集という感じでしょうか。

 執筆陣は、「MAC LIFE」編集長で、ジョブが亡くなったすぐに刊行された『ジョブズ伝説』('11年11月/三五館)の著者である高木利弘氏や、テクノロジーライターで『スティーブ・ジョブズとアップルのDNA』('11年12月/マイナビ)の近著がある大谷和利氏など。

 大谷和利氏には、『iPodをつくった男―スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』('08年/アスキー新書)という著書がありますが、新書という体裁上、Mac等の製品デザインについての記述の部分に関して写真が少なく分かり辛かったのに対し、本書はムックの特性を十分に活かし、写真と記事が相乗効果をもたらすような作りになっています。

 iPhonだけでも相当数の写真がありますが、それらの並べ方が美しく、本書の最も優れている点は、エディトリアル・デザインにあると言っていいかと思います。

 個人的にはPCはMacを使ってはいないのですが、MacOSのモノクロのドット絵でデザインされたインターフェイスなどは懐かしさを覚えます。
 その他にも、かなりレアな製品写真や画像も多く含まれているようで、そのあたりは個人的にはあまり詳しくないのですが、永年のMacユーザー、Macファンにはたいへん魅力的な1冊ではないでしょうか(マニアならば、星5つ評価か)。

 ジョブズ及びアップル社の詳細な年譜も付いていて価格1,900円は、「保存版」的な価値からみると安いと思います。

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"イノベーションの人"であったことを改めて痛感する『全発言』。中学生から読める『全仕事』。

スティーブ・ジョブズ全発言.jpg 『スティーブ・ジョブズ全発言 (PHPビジネス新書)』['11年] スティーブ・ジョブズ全仕事.jpg図解 スティーブ・ジョブズ全仕事』['12年]

スティーブ・ジョブズ名語録.jpg 昨年('11年)11月の刊行(奥付では12月)ということで、10月のスティーブ・ジョブズの逝去を受けての執筆・刊行かと思ったら、昨年初から企画をスタートさせて脱稿したところにジョブズの訃報が入ったとのこと、著者には既に『スティーブ・ジョブズ名語録 (PHP文庫)』('10年)という著作があり、今回はその際に収録できなかったものも網羅したとのことで、その辺りが「全発言」という由縁なのでしょうか。

 彼の言葉を11のテーマ毎に括ってそれぞれ解説していますが、解説がしっかりしているように思え(前から準備していただけのことはある?)、内容も面白くて、一気に読めました(新書で330ページ超だが、見開きの右ページにジョブズの言葉が数行あって、左ページが解説となっているため、実質、半分ぐらいの厚さの新書を読む感じ)。

 必ずしも時系列に沿った記述にはなっておらず、冒頭にジョブズの年譜がありますが、1冊ぐらいジョブズの伝記を読んでおいた方が、そうした発言をした際のシチュエーションが、より把握し易いと思われます。

 11のテーマは、「ヒットの秘密」「自分の信じ方」「イノベーション」「独創の方法」「仕事のスキル」「プレゼンテーション」「リーダーの条件」「希望の保ち方」「世界の変え方」「チームプレー」「生と死」となっていますが、全般的にイノベーションに関することが多く(特に前半部分は全て)、ジョブズが"イノベーションの人"であったことを、改めて痛感しました。

 著者の解説と読み合わせて、特に個人的に印象に残った言葉を幾つか―。

「マッキントッシュは僕の内部にある。」
 ジョブズは、設計図の線を一本も引かず、ソフトウェア一行すら書かなかったにも関わらず、マッキントッシュは紛れも無くジョブズの製品だったわけで、マッキントッシュがどういう製品であるべきかという将来像は、彼の内部にしかりあった―何だか、図面を用いないで社寺を建てる宮大工みたい。

「イノベーションの出どころは、夜の10時半に新しいアイデアが浮かんだからと電話をし合ったりする社員たちだ。」
 著者が「多くの企業がイノベーションを夢見ながら一向に果たせずにいるのは、『イノベーション実現の五ヵ条』といったものを策定して壁に貼り出すことで満足するからだ。イノベーションとは、体系ではない。人の動きなのだ」と解説しているのは、確かにそうなのだろうなあと。ジョブズは、「研究開発費の多い少ないなど、イノベーションと関係はない」とも言っています。

「キャリアではない。人生なのだ。」
 '10年の春にジョブズを訪問したジャーナリストの、「キャリアの絶頂を迎え、この恰好の引き際でアップルをあとにされるのですか」との問いに答えて、「自分の人生をキャリアとして考えたことはない。なすべき仕事を手がけてきただけだよ...それはキャリアと呼べるようなものではない。これは私の人生なんだ」と―。今の日本、キャリア、キャリアと言われ過ぎて、"人生"がどっか行ってしまっている人も多いのでは...。

 後には、「第一に考えるのは、世界で一番のパソコンを生み出すことだ。世界で一番大きな会社になることでも、一番の金持ちになることでもない」との言葉もあります。
 これは「お金は問題ではない。私がここにいるのはそんなことのためではない」との言葉とも呼応しますが、ヒューレット・パッカードの掲げた企業目的が「すぐれた」製品を生み出すことだったのに対する、ジョブズの「すぐれた」では不足で、「世界で一番」でなければならないという考えも込められているようです。

 個人的には、自己啓発本はあまり読まない方ですが、読むとしたら、やはりジョブズ関連かなあ。神格化するつもりはありませんが、元気づけられるだけでなく、仕事や人生に対するいろいろな見方を示してくれるように思います。


 本書著者には、近著で『図解 スティーブ・ジョブズ全仕事』('12年1月/学研パブリッシング)というのもあり、これはスティーブ・ジョブズがその生涯に成し遂げた業績を解説しながら、イノベーション、チームマネジメント、プレゼン手法など、彼の「仕事術」をコンパクトに網羅したもの。

 190ページ足らずとコンパクトに纏まっていて、しかも、見開き各1テーマで、左ページは漫画っぽいイラストになっていますが、これがなかなか親しみを抱かせる優れモノとなっています。

 難読漢字(というほど難読でもないが)にはルビが振ってあり、中学生からビジネスパーソンまで読めるものとなって、特に中高生に、ジョブズの業績について知ってもらうだけでなく、ビジネスにおける「仕事術」というものを考えてもらうには、意外と良書ではないかと思いました。

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コンパクトに纏まっている。アップル社およびジョブズについて知る上で手頃な本。

アップルの法則 青春新書.jpg 『アップルの法則 (青春新書インテリジェンス)』['08年]

 昨年('11年)10月にスティーブ・ジョブズが亡くなってから、ジョブズ関連本の刊行が相次ぎ、また結構売れているようですが、バタバタと急いで書かれた本よりは、ちょっと以前に書かれた本の方が良かったりもし、本書もその一つ。'08年の刊行であり、'07年のiPhone発表までをカバーしています。

 iMac、iPod、iPhoneとヒット製品を出し続けるアップル社がどのような会社で、どのように発想し、どのように製品を作ってきたのかが、アップルの誕生から凋落、そして奇跡の復活を遂げるまでのストーリーと併せてコンパクトに纏められています。

 著者はアップルを長年追いかけてきたITジャーナリストで、新書本は初めてとのことですが、一般向けに分かり易く書かれていて、既にアップルをよく知っている人が読むとあまり目新しい情報は無いかもしれませんが、今までアップル製品にあまり縁が無かったが、iPodやiPhoneを使い始めてから初めてアップル社やその製品に関心を持つようになったといった人には、アップル社を知る上で手頃な本かも。

 同じ年の1月に刊行された同著者の『スティーブ・ジョブズ―偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡』('08年/アスキー)が、ジョブズを撮った写真中心だったの対し(殆ど写真集?)、企画としては先行していたというこちらの方は、文章が中心であるため、相補関係にあつとも言えます。
 
 アップル社の歴史を追うということは、とりもなおさずスティーブ・ジョブズの歩んできた道を追うということになるとの思いを改めて抱かされ、ジョブズが亡くなってからジョブズという人物に関心を持ち始めた人にとって、ジョブズ自身の歩んできた道や、その製品戦略を知る上でも手頃な入門書と言えるかと思います(製品解説の部分、とりわけデザインについての部分は、もっと写真があった方が良かった)。

 著者は、アップル流のビジネスのやり方は、「日本の企業で、今すぐにそのまま実践しようとしても、なかなかうまくはいかないことも多いだろう」が、「アップルから今すぐ学んで取り入れることができることもある」と書いていますが、それは日本の企業に限らず言えることでしょう(ジョブズ亡き後、この会社がどうなるのか)。

 最後の方でジョブズが′05年にスタンフォード大学で行った、あの「ハングリーであれ、バカであれ」という言葉で締めくくられた有名なスピーチの内容が紹介されており、スタンフォード大学のWebサイトで「(英語の)文章として読むことができる」と補足されていますが、今はYouTube で日本語字幕付きで見ることができ、ちらっと見るつもりが、結局最後まで見てしまう―そんな味わい深い内容でした。

スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞

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大判の写真が充実(「写真集」に近い)。上質のクリエイティブ・センスで作られている本。

スティーブジョブズ偉大なるクリエイティブディレクター.jpgスティーブ・ジョブズ 偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡』['07年/アスキー]

スティーブ・ジョブズ3.jpg 昨年('11年)10月に56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズの軌跡を追った本ですが、彼の人生のターニングポイントとなった幾つものシークエンスにおけるジョブズを撮った、余白スペース無しの大判の写真が充実していて、ジョブズの様々な発言と組み合わせたレイアウトも美しく、ジョブズの言葉の力強さを引きたてています。

 '07年末の刊行であり(奥付では'08年1月)、勿論その時点では大方の人がジョブズの死というものを('05年に一旦ガン克服宣言をしていることもあって)こんなに早く現実になるものとしてイメージしていなかったのではないかと思われ、そんな中、映画スターでもない企業経営者で(しかも存命中に)このような「写真集」のような本が刊行されたというのは、ジョブズの絶大なカリスマ性ならでのことではないでしょうか。

 長年アップル社及びジョブズを追いかけてきたITジャーナリストである著者が、ジョブズの軌跡を分かり易い文章で綴っていて、'07年のiPhone発表までをカバーしており、解説そのものは概ねジョブズやアップル製品のファンには既に知られていることが多いと思われますがが、中にはきらりと光るエピソードもあり、また、強いて言えば、サブタイトルにある「クリエイティブ・ディレクター」としての彼にスポットが当てられたものとなっています。

 写真の方も、冒頭の一枚に、今や多くのジョブズ関連本の表紙にその場面が用いられているiPhone発表の際のプレゼンテーションのものが、「今日、アップルは電話を再発明する」という彼の言葉とともにあり、最後のカラー写真は、そのプレゼンの最中に機材の不具合で中断を余儀なくされた際に、ジョブズが慌てる素振りも見せず、創業期に共同創業者のウォズニーらとやっていた悪戯を壇上にて身振りで紹介し、聴衆の笑いをとっている様を撮ったものであり、う~ん、大人の風格!

 ビル・ゲイツ('07年)との公開インタビューの写真で「昨日のことでクヨクヨするのではなく、一緒に明日をつくっていこう」との言葉があるのは、実際にその場でその通りのことを言ったにしても、やや出来過ぎの感もありますが('05年のスタンフォード大学の卒業式のスピーチでは、「WindowsはMacのコピーに過ぎない」と冗談っぽく言って、学生の笑いをとっていたけれど...)。

スティ―ブ・ジョブズIMG_2707.JPG 若い頃の写真もいい。アップル追放時代の中盤期の写真も少ないながらも何枚かあるようですが、「言葉」に年代が入っているのはいいけれど(「二十億ドルの売上と四三〇〇人の社員を抱える大企業が、 ジーンズを穿いた六人組と張り合えないなんてバカげている」という言葉は、アップル社に対して言っていたのだなあ)、出来れば「言葉」だけでなく「写真」の方にも年代を入れて欲しかったようにも思います。

 それでもグッドなエディトーリアル・デザイン。本書そのものが、上質のクリエイティブ・センスで作られているとの印象を受け、ファンには垂涎の1冊とまではいかなくても(価格的にも内容の割には安いと思う)手元に置いておきたい本ではないでしょうか。

《読書MEMO》
●目次
プロローグ ─iPhone─
「今日、アップルは電話を再発明する」
[第一章] さらばアップル
創業
「実はエジソンのほうが、世の中に貢献しているんじゃないかと思えてきた」
六色のロゴ
「私は、自分の思う方法で好きにやるチャンスを手に入れたんだ」
Apple II
「どうあってもコンピューターをプラスチックのケースに入れたいと思った」
Lisa
「どうしてこれを放っておくんだ? これはすごいことだ。これは革命だ!」
Mac
「海軍に入るくらいなら、海賊になったほうがましだ」
NeXT
「20億ドルの売り上げと4300人の社員を抱える大企業が、ジーンズを穿いた6人組と張り合えないなんてバカげている」
ピクサー
「ディズニーの白雪姫以来、最大の進歩だ」
[コラム] ジョブズとゲイツ

[第二章] アップル復活
Think different.
「私にはアップルを救い出す計画がある」
iMac
「いまの製品はクソだ! セックスアピールがなくなってしまった!」
Mac OS X
「画面上のボタンまで美しく仕上げた。思わずなめたくなるはずだ」
デジタル・ライフスタイル
「これは、われわれがリベラル・アートとテクノロジーの接点に立つ企業であることを示している」
iPod
「われわれはレシピを見つけただけではない。"アップル"というブランドが素晴らしい効果をもたらすと考えたのだ」
iTunes Store
「これは音楽業界のターニングポイントとして歴史に残るだろう。まさに画期的なものなんだ」
[コラム]
人々が語った「スティーブ・ジョブズ」
エピローグ ─ スタンフォードにて ─
「ハングリーであれ、バカであれ」

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啓蒙書としても読めるし、ジョブズの失敗と成功、遺したものの大きさも知ることができる。もしあの時ジョブズがこうしていたら...。

スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力.gif 『スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力 (PHPビジネス新書)

 スティーブ・ジョブズがその個性の強さゆえに犯した数々の失敗と、彼自身がそこから学び復活を遂げたことに倣って、ビジネスにおいてどのようなことに留意すべきかを教訓的に学ぶという、ビジネス・パーソン向けの啓蒙書的な体裁を取っていますが、併せて、ジョブズの歩んできた道における様々なビジネス上のイベントが、必ずしも時系列ではないですがほぼ取り上げられているため、ジョブズの足取りを探ることが出来るとともに、コンピュータ産業や映画産業の裏事情なども知ることができ、180ページほどの薄手の新書ですが、かなり面白く読めました。

 ジョブズを徒らに偶像化するのではなく、素晴らしい面とヒドイ面、それぞれについて書かれていますが、こうした体裁から、むしろ「反面教師」として部分にウェイトがかかっているのが本書の1つの特徴でしょうか。但し、こうした人間的にどうなのかと思われるような行動そのものが、ある意味、常人には測り知れない天才の個性でもあることは、著者も重々承知のうえなのですが。

 ジョブズがアップルへの奇跡的な復帰を遂げたことについては、当時のCEOギル・アメリオの"引き"が大きかったわけですが、そのアメリオをジョブズが策略を用いて放逐したことは、ジョブズの"悪行"としてよく知られているところ。本書でも「恩人を蹴落とし、CEOの座を射止める」と小見出しを振っていますが、ジョブズがアップルへの復帰を果たさなかったら、ジョブズの情熱はピクサーに注ぎ込まれ、ピクサーはジョブズの現場介入により、「トイ・ストーリー」('95年)のようなヒット作は生み出せず、駄作のオンパレードになっただろうという分析は興味深く、更には、iPodもiPhoneも誕生しなかったとして、アメリオの救済がいかに大きかったかを述べている辺りは、説得力がありました(そのアメリオを裏切ったジョブズがいかにヒドイ人間かということにも繋がるのだが、「裏切り者が作る偉大な歴史」という小見出しもある)。

ファインディング・ニモ whale.jpg 因みに、「ファインディング・ニモ」('03年)の制作の際に、ピクサーの美術部門のメンバーは、クジラの中にニモが呑みこまれるシーンを描くために、海岸に打ち上げられたクジラの死体を見に出かけたとのこと、ピクサーのデザイナー達は、アニメの映像世界の細部にジョブズ以上のこだわりを持っていたわけです。

ジョブズ&ゲイツ 2007年5月.jpg 更に、ジョブズとビル・ゲイツの間の様々な交渉についても、ジョブズが犯した過ちを鋭く検証していて、いかにジョブズが失ったものが大きかったかということが理解でき、Windowsのユーザーインターフェイスがその典型ですが、ある意味オリジナルはMacであり、普通ならばマイクロソフトではなくアップルがコンピュータ産業の覇者となり、ジョブズが世界一の億万長者の地位にいてもおかしくなかったことを示唆しているのも頷けました。

Steve Jobs and Bill Gates Interviewed together at the D5 Conference (2007).

スティーブ・ジョブズ 偶像復活.jpg ジョブズの秘密主義にもスゴイなあと思わされるものがあり、2005年に刊行されたジェフリー・ヤング、ウィリアム・サイモン著『スティーブ・ジョブズ―偶像復活』(′05年/東洋経済新報社)を読みましたが、そこにはiPhoneのことは全く出てきませんでしたが、2004年夏にジョブズが「アップルフォンを作ることはない」と正式発表した時、心の底では逆のことを考えていたというわけだと。

 著者は、アップルにおいてマーケティングに携わっていたこともある人で、現在はドラッカーの解説本を書いたり講演活動を行ったリもしている人。本書はビジネス啓蒙書としても読めるし、ジョブズの失敗と成功、遺したものの大きさをも知ることができ、更には、もしあの時ジョブズがこうしていたら...といったことに思いを馳せることにも繋がる本です。

ファインディングニモ dvd.jpg「ファインディング・ニモ」●原題:FINDING NEMO●制作年:2003年●制作国:アメリカ●監督:アンドリュー・スタントン/リー・アンクリッチ●製作:グラハム・ウォルターズ(製作総指揮:ジョン・ラセター)●脚本:アンドリュー・スタントン/ボブ・ピーターソン/デヴィッド・レイノルズ●音楽:トーマス・ニューマン/ロビー・ウィリアムズ●時間:100分●出演:アルバート・ブルックス/エレン・デジェネレス/アレクサンダー・グールド/ウィレム・デフォー/オースティン・ペンドルトン/ブラッド・ギャレット/アリソン・ジャニー●日本公開:2003/12●配給:ウォルト・ディズニー・ カンパニー (評価★★★☆)

ファインディング・ニモ [DVD]

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スラスラ読める分、物足りない。パソコン雑誌の記事文章みたい。

IPodをつくった男  スティーブ・ジョブズ.jpgiPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス (アスキー新書 048)

 スティーブ・ジョブズという人物のアウトライン、アップル社の経営方針、アップル製品のデザイン戦略、キャッチコピーから見たアップル社、ジョブズの犯した誤りとそこからの軌道修正など、盛りだくさんな内容で、それでいて全体で190ページしかなく、しかもスラスラ読める本でしたが、それだけに色々物足りない点もありました。

スティーブ・ジョブズ 偶像復活.jpg Amazon,comのレビューで、ジェフリー・ヤング、ウィリアム・サイモン著『スティーブ・ジョブズ―偶像復活』(′05年/東洋経済新報社)を薄めて新書にしたようなもの、という評がありましたが、著者自身が翻訳したアラン・デウッチマン著『スティーブ・ジョブズの再臨』('01年/毎日コミュニケーションズ)を主に参照しているようで、'90年代のことに関する記述が多いのに対し、今世紀に入ってからの記述が少ない点がまず物足りません。

 アスキー新書で、著者はテクノロジージャーナリストということで、テクノロジーの面での記述に期待したのですが、記述が広い範囲に及ぶ分、それぞれの中身はやや浅く、ジョブズのプレゼンとビル・ゲイツのプレゼンの違いを写真入りで解説するならば、Mac等の製品デザインについての記述の部分にも写真を入れるなどの気遣いが欲しかったように思います。

 本文がパソコン雑誌の記事文章のようで、その味気無さを補うかのように、章ごとにジョブズ語録を挟んでいますが、やはり全体として内容そのものが、新書という制約もあり、かなり"薄い"ものとなってしまった感じがしました。

 ジョブズの歩んできた道を把握する上でも、本書サブタイトルにある「現場介入型ビジネス」というキーワードを掘り下げる上でも、やはり、『スティーブ・ジョブズ―偶像復活』などを読んだ方がよさそう(ジョブズの「現場介入」主義を全面肯定しているのもやや気になる。映画「トイ・ストーリー」は、ジョブズがエド・キャットムルらに権限委譲したから誕生したのでは)。

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ジョブズの多面性をそのままに描く。こんな劇的な話があっていいのかと思うくらい面白かった。

スティーブ・ジョブズ 偶像復活.jpg スティーブ・ジョブズ 偶像復活2.bmpスティーブ・ジョブズ-偶像復活』(2005/11 東洋経済新報社)

ウォルター・アイザックソン スティーブ・ジョブズ.jpgスティーブ・ジョブズ 1977.jpg アップル創業者スティーブ・ジョブズ(1955-2011/享年56)の半生記であり、ジョブズの伝記はこれまでも多く刊行されていますが、昨年['11年]10月にジョブズが亡くなったことで、ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ(上・下)』('11年10月/講談社)をはじめ、多くのジョブズ関連本がベストセラーにランクインすることとなりました。

AppleⅡを発表するスティーブ・ジョブズ(1977)本書より

 アイザックソン版は絶妙のタイミングでの邦訳刊行でしたが、取材嫌いのジョブズが唯一全面協力した「本人公認の決定版評伝」とのことで、果たしてそのことがいいのかどうか。上下巻に渡る長さということもあり、翻訳の方もかなり急ぎ足だったきらいが窺えるようで、同じ井口耕一氏の翻訳によるものですが、本書の方を読むことにしました。

 本書は、原著も'05年刊行であり、ジョブズの生い立ちから始まって、一度はアップルを去った彼が倒産寸前のアップルに復帰し、iPod等で成功を収めるまでが描かれていますが、翻訳はこなれていて読み易く、ジョブズの歩んできた道が成功―挫折―復活の繰り返しであったこともあって、とにかく内容そのものが波瀾万丈、こんな劇的な話があっていいのかというくらい面白かったです。

ジョブズ nhk.bmp 個人的には、ちょうどNHKスペシャルで「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」('11年12月24日放送)を見たところでしたが、それと照らしても、偏りの少ない伝記と言えるのではないでしょうか。元々が毀誉褒貶の激しいジョブズですが、そのスゴイ面、人を強烈に引きつける面と、ヒドイ面、友人や上司にはしたくないなあと思わせる面の両方が書かれていて、それでいて、ジョブズに対する畏敬と愛着が感じられました。

 単巻ながらも約500ページの大著ですが、アップル創業時代を描いた第1部(21歳でアップルを創業し、僅か4年で「フォーチュン500」に名を連ねる企業にするも、経営予測を誤り'85年に同社を追われる)、追放時代を描いた第2部(NeXT社を設立する一方、ルーカス・フィルムの子会社を買収して設立したピクサーで成功を収め、表舞台に復帰する)、アップル復帰以降の第3部(13年ぶりにアップルに復帰するやiMac('98年)をヒットさせ、更にiPod('01年)、iTunesなどのヒットをも飛ばす)とバランスよく配分されています。

「マッキントッシュ」新発売コマーシャルと発表するジョブズ(1983)
steve jobs 1983.jpg アップルの共同創業者や自らが引き抜いた経営陣との確執のほかに、同年代のライバルであるビル・ゲイツとの出会いや彼との交渉、Windowsの牙城を切り崩そうするジョブズの攻勢なども描かれていますが、ピクサーでの仕事におけるディズニー・アイズナー会長との様々な権利を巡るビジネス面での交渉が特に詳しく描かれており、アメリカのコンピュータ業界の内幕を描いた本であると同時に、映画ビジネス界を内側から描いたドキュメントにもなっています。

Luxo Jr.(1986)
Luxo Jr.jpg NHKスペシャルの「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」を見て、彼の人生には幾つかの印象的な場面が印象的な映像と共にあったように思われ、とりわけ、'84年のマッキントッシュ発売の際のジョージ・オーエルの『1984』をモチーフとしたコマーシャル(CM監督は「ブレードランナー」('82年)のリドリー・スコット)や、'86年のCGの可能性を如実に示した"電気ランプ"の親子が主人公の短篇映画「ルクソーJr.」(Luxo Jr.)、'95年の「世界初のフル3DCGによる長編アニメーション映画「トイ・ストーリー」などが個人的には脳裡に残りました。

「トイ・ストーリー」(1995)
トイ・ストーリー1.jpg 「トイ・ストーリー」以外は番組で初めて見ましたが、そうした映像のイメージもあって本書を比較的身近に感じながら読むことができ、「トイ・ストーリー」も、初めて観た時はCGが進化したなあと思っただけでしたが、ジョブズが買収も含め個人資産を10数年も注ぎこむも全く利益を生まなかったピクサーが、土壇場で放った"大逆転ホームラン"だったと思うと、また違った感慨も湧きます(この作品だけでも公開までの4年間の投資額は5千万ドルに及び、「こんなに金がかかるなら投資しなかった」とジョブズは語っているが、本作のヒットでピクサー株は高騰し、結果的にジョブスの資産は4億ドル増えた)。

 そもそも、ジョブズのアップル復帰そのものが、次世代マッキントッシュの開発に失敗したジョブズ無き後のアップルが、次世代OSを求め、その開発に当たっていたNeXT社を買収、それに伴いジョブズの非常勤顧問という形でのアップル復帰が決まったわけで、それを機にジョブズは経営の実権を握るべくポリティックな画策をするわけですが、この「トイ・ストーリー」のヒットが、ジョブズの立場を押し上げ強固なものとする追い風になったのは確かでしょう。

 「トイ・ストーリー」に続くピクサー作品も、興行記録を次々塗り変えるヒットで、その生み出す利益があまりに膨大であるため、本書にあるようなディズニー・アイズナー会長との確執ということに繋がっていったのでしょうが、その後アイズナーの方は会長職を追われ、ジョブズはピクサーをディズニーに売却すると共に、ディズニーの筆頭株主に収まるという決着となっています。

iMacを発表するジョブズ(1998)
iMac 1998.jpg 人々を惹き付ける素晴らしいプレゼンテーションをする一方で、傲慢な人柄で平気で人を傷つけ、また、類まれなイノベーターとして製品のデザインや性能への完璧主義的なこだわりを持つ一方で、相手の弱みに付け込む政治的画策も厭わない冷酷な経営者という一面も持つ―こうしたジョブズの多面性が、本書では充分に描かれているように思いました。

 彼の次の視野には、マイクロソフトからコンピュータ業界の覇権を奪回すべく、Windows及びOfficeに匹敵するようなOSやアプリの開発があることが本書では示唆されていますが、実際に彼が'07年1月のMacworld 初日の基調講演で発表した新製品は、次世代携帯端末のiPhoneだった―徹底した秘密主義というのもあるかと思いますが、ほんの1年か2年後にどんな(しかもメガヒットとなる)製品を出すのか、誰も予測がつかなかったということなのでしょうか。

トイ・ストーリー dvd.jpg「トイ・ストーリー」●原題:TOY STORY●制作年:1995年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ラセター●製作:ラルフ・グッジェンハイム/ボニー・アーノルドズ●脚本:ジョス・ウィードン/アンドリュー・スタントン/ジョエル・コーエン/アレック・ソコロウ●撮影:スティーヴン・H・ブラム●音楽:ランディ・ニューマン●時間:81分●出演:トム・ハンクス/ティム・アレン/ドン・リックルズ/ジョン・モリス/ウォーレス・ショーン/ジョン・ラッツェンバーガー/ジム・バーニー●日本公開:1996/03●配給/ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン(評価★★★☆)

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