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評価の曖昧性さは不可避的なもの。「公正さ」だけでは物事は回らないと。。

人事評価の「曖昧」と「納得」.jpg人事評価の「曖昧」と「納得」 (NHK出版新書 447)

 人事評価とは従業員にとって不満の対象としかなり得ないものなのか。本書によれば、人事評価には、評価者や人事担当者がどれだけ頑張っても、どうしても克服できない「組織の事情」とも言うべき難点があり、その最も端的なものが、自分(従業員)の評価の背景が「曖昧」にしか伝わってこない、というものであるとのことです。

 こうした評価の曖昧性は、必ずしも評価者や人事担当者に問題があるから生じるというものではなく、個人の評価が所属する部門や企業全体の動向に大きく左右されるものでありながら、その動向を正確に把握・統制できる主体は存在しないために生じるものであって、評価の曖昧性は、人事評価が抱える構造的な制約であるとしています。

 そこで本書では、人事評価の理想的な在り方といった考えからある意味で距離を置き、こうした曖昧性を人事評価における「真実」として評価者・被評価者の双方が理解するところから、評価に対する不満という問題の克服が始まるとしています。端的に言えば、人事評価の現実的な目標は「満足感や公正感の最大化」ではなく「不満感や不公正感の最小化」に置かれるということです。

 第1章では「人事評価の成り立ち」をおさらいし、従業員に納得してもらうための「公正な評価」とは何か、そこから見えてくる人事評価が目指すべき現実的目標は何かを考察し、第2章「曖昧化する人事評価」では、人事評価への不満と不安の背景には、人事評価における曖昧さの問題があるとしています。

 第3章「曖昧さの中での納得」では、曖昧にならざるを得ない評価に従業員が納得する道筋にどのようなものがあるかを分析し、そこには、評価制度のねらいが部分的に外れるのは仕方がない、実際に受ける評価や報酬はそう悪いものではない、自己評価を過信しない、などといった従業員自身の「現実主義的な評価観」があるとしています。

 では、どのような経験を積めば、従業員は人事評価における曖昧な状況を当然視したりするなどして、評価の曖昧さを受け入れるのか。著者は、そこには、部下である従業員と上司である管理者との関係性が決定的に重要な要因として働くとしています。それは具体的には、非公式的・日常的に上司から評価を受けていることであったり、仕事に対して充実感を抱き、自身の成長を目指していることであったり、評価者=上司に信頼感を抱いていることであったりするとしています。

 そのことを受け、第4章「職場や従業員に寄り添う人事評価」において、人事部門と現場の関係を編み直すために、人事部門の新たな役割として、地に足着いた「戦略パートナー」という考えを提唱しています。また、人事評価を「パフォーマンス・マネジメント」の手段として捉えることで、従業員の挑戦や成長への意欲を引き出し、企業の目標達成に結びつけることも重要であるとしています。

 評価の曖昧性を不可避的なものとしていったん肯定するところから議論を始め、従業員が人事評価における曖昧な状況をどう受け入れているかを分析したうえで、それでは人事部門はどう対処すべきか、どのようなスタンスで人事評価というものを捉えるべきかという順で説いているのが興味深かったです。

 研究者の書いたものですが、考察のベースには一定のフィールドワークが裏付けとしてあることが感じられ、複雑な状況を理解しているだけに、本書はまだ「中間総括」であるとの自覚もあるようです。「公正さ」だけでは物事は回らず、それ以外の大事なこともあるということを述べている点において、啓発的示唆に富むものであると思われました。
 
《読書MEMO》
●目次
第1章 人事評価の成り立ち(人事評価が目指すもの;人事評価制度の作り込み;日本企業における二大評価法;人事評価における公正と納得)
第2章 曖昧化する人事評価(人事評価への不満と不安;「職務遂行能力」をめぐる苦闘―能力評価の曖昧化;「過程の公正」は実現するか?―業績評価の曖昧化;再説:人事評価への不満と不安)
第3章 曖昧さの中での納得(「シロ」とも「クロ」とも言える曖昧さの前で;「曖昧な中での納得」とは;どうやって従業員は曖昧さを受け入れるか―上司と部下の関係性;従業員にとって人事評価とは何か)
第4章 職場や従業員に寄り添う人事評価(人事部門と現場の関係を編み直す;優劣比較を伴わない評価;パフォーマンス・マネジメントとしての人事評価;不満の芽を飼い馴らす)

著者紹介
江夏幾多郎[エナツイクタロウ]
1979年、京都府生まれ。名古屋大学大学院経済学研究科准教授。博士(商学、一橋大学)。専門は、人事管理論。主な論文「人事システムの内的整合性とその非線形効果」(第13回労働関係論文優秀賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

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「社内出世」と「プロとして生きること」の両方を論じている分、インパクトに欠けるか。

出世する人は人事評価を気にしない.jpg出世する人は人事評価を気にしない2.JPG
出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)

 本書では、冒頭で、経営層に出世した人たちの特徴として、自分の人事評価を気にしていなかったことを挙げています。そして、その背景には彼らに共通した行動があり、それを整理する試みが本書であるとのことです。

 企業内では、目の前の仕事で結果を出していてもある日昇進できなくなることがあり、一方で、それまで評価の低かった人がいきなり出世することがあるとしています。なぜそうしたことが起きるのかというと、一般社員層の間の昇進基準は、今担当している仕事での評価結果に基づくのに対し、管理職になるときには、別の昇進基準が用いられる――つまり、上位者から「使われる側」でいる間は「競争」が基本だが、それ以上の「使う側」になるには「選ばれる」ルールが変わる、すなわち互いに選び合う立場になる「協奏」になるタイミングがあると指摘しています。

 一般社員の間は「卒業基準」で、課長からは「入学基準」となり、「職務主義」のもとでは、課長として優秀でも部長にはなれないといった本書の指摘は、一般のビジネスパーソン(とりわけ若い人たち)にとっては新たな知見として受け止められる面もあるかもしれませんが、人事パーソンにとってはある種コモンセンスに近いものではないでしょうか。ただし、ケース・ストーリーも交え、そうしたことが分かりやすく書かれているため、おさらい的に読むにはいいかもしれません。

 課長の手前までは「できる人」が出世するが、さらに上にいくには「できる」だけでよいのか、管理職止まりの人と経営陣になる人は何が違うのかといったことが、会社側のアセスメント基準として、また、ビジネスパーソンに対する啓発的示唆として説かれています。因みに、「出世する人」の行動パターンとして著者は、第一につながりを大事にしていること、第二に質問を繰り返していること、を挙げています。

 さらに、40歳からの10年間、課長時代の働き方がその後の人生を決定するとして、40歳は第二のキャリアの出発点であるとし、第二のスタートを切るにあたって自ら人的資本の棚卸しを行い、キャリアの再設計を行うことを提唱しています。

 その上で、40歳からのキャリアの選択肢として、社内プロフェッショナルになるという生き方を提唱しています。併せて、企業におけるプロフェッショナルの処遇の在り方が、本来の専門性を評価する方向に変わってきていることも指摘しています。ただし、プロフェッショナルとして認められるには高い評価を得る必要があり、では、評価を意識せずに専門性を認められるには、組織でどう働けばよいかといったことを、最終章にかけて指南しています。

 そして、プロフェッショナルとして認められるには、「明確な専門性がある」ことが第一条件であり、プロフェッショナルを目指す人なら、この条件はクリアしやすいだろうが、テクニックが求められるのは第二の条件の「ビジネスモデルに貢献する」ことであるとしています。

 以上の流れでも分かるように、途中までは「出世する」にはどうすればよいかということが書かれていたのが、途中から、組織の中でプロフェッショナルとして生きるにはどうすればよいか、言い換えれば、部下のいない管理職としての地位にあり続けるにはどうすればよいかという話に変わってきているように思いました。

 本書では、「出世」という言葉を社内での昇進のことだけではなく、起業して成功したり、転職して新たなキャリアやさらに高いポジションを得ることも含めて指しているとのことです。ならば、結局、本書の本来の趣旨は、社内外に関わらずプロフェッショナルを目指せということになるのでしょうか。

 プロフェッショナルとは、自分で自分の仕事に評価を下す人と解すれば、必ずしもタイトルから大きく外れるものではないともとれますが、「出世する人は―」というタイトルは間違いなくアイキャッチになっていると言えるでしょう。

 若年層向けの啓発書としてはそう悪くないと思いました。ただ、結局、前半部分は基本的に社内での出世について書かれていて、「それが叶わなくなった場合」に備えて今のうちにどうしておけばよいかということが後半部分に書かれているような気もしました。

 これでは、「とりあえず社長レースに参加しておこう」という"従来型サラリーマン"の発想を変えるものではなく、「本旨」であるべきところの後半部分が前半部分の「保険」に思えてしまう分、インパクトは弱かったように思います(ゼネラリストを目指す人、スペシャリストを目指す人、ゼネラリストを目指してダメだったらスペシャリストを目指す人の全てを読者ターゲットとして取り込もうとした?従来型サラリーマン"マジョリティ"との相性は良さそうだけれど)。

《読書MEMO》
●目次
第1章 評価が低いあの人が、なぜ出世するのか――「使う側」「使われる側」の壁
第2章 課長手前までは「できる人」が出世する――組織における人事評価と昇進のルール
第3章 役員に上がるヒントは、ダイエット本の中にある――経営層に出世する人たち
第4章 採用試験の本番は40歳から始まる――課長ポストからのキャリアの見直し
第5章 飲みに行く相手にあなたの価値は表れる――第二のキャリアを設計する
第6章 レースの外で、居場所を確保する方法――組織内プロフェッショナルという生き残り方
第7章 「求められる人」であり続けるために――会社の外にあるキャリア
おわりに 「あしたの人事の話をしよう」

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人事考課制度の設計や考課者研修をする際に参考になる。労務行政版は事例解説が丁寧。

最新 人事考課制度.jpg     最新成果主義型人事考課シート集.jpg  最新・目標管理シート集.jpg
今が分かる!悩みに答える!最新 人事考課制度 - 13社の企業事例、最新実態調査、専門家の解説とQ&A (労政時報選書)』['11年]/『最新成果主義型人事考課シート集―本当の強さをつくる評価・育成システム事例』['03年]/『最新・目標管理シート集』['08年]

 企業で実際に使われている人事考課のための帳票や目標管理シートを集めたものでは、日本経団連が日経連時代から何年かおきに刊行しているものがあり、直近では、『最新 成果主義型人事考課シート集―本当の強さをつくる評価・育成システム事例』('03年/日本経団連出版)や『最新 目標管理シート集』('08年/日本経団連出版)があります。

 前者は32社のモデル帳票資料263点を収録し6,020円、後者は30社のオリジナルシートを収録し、274ページで4,200円と、それぞれなかなか"いい値段"で、しかも中古でもあまり安くならないところをみると、やはり継続的に需要があるということなのでしょう。端的に言えばシート集であり、解説を書いているのも各企業の担当者です(ある意味、日本経団連は、ラクな商売してる?)。

人事考課制度集.JPG 「労政時報選書」として刊行された本書の場合は、リクルート、リコー、日本ユニシス、ハウス食品、更にはソフトバンクなどなど13社の事例を載せていて、376ページで税込価格5,200円。まあ価格的にはこんなところになるのかなと('06年版の『最新人事考課制度』は、224ページ(3,900円)だったので、ページ数を増やし、価格もそれに伴って上げたことになる。「別冊」から「選書」になっても、安くならないんだなあ)。

 1社当たりの記事は、「労政時報選書」版の方が、背景となる人事制度の枠組みなどが「取材記事」として丁寧に解説されている点で充実していて、それら事例の紹介に入る前に、最近の人事考課の変化傾向分析などが、調査データを交え80ページに渡ってなされており、これも参考になります。

 また、後半の100ページは、運用のためのQ&Aが31問ほど付されて、かなり突っ込んだ解説がなされていたり、「考課力アップ講座」としてチェックテストが付されていたりし、これらは、考課者研修に使える実践的なものであると思われます(個人的にも実際に使用した。「労政時報」本誌でかつて掲載された内容もあるが、本誌購読会員は改めてネットでダウンロードできる)。

 13社の事例をみても、考課表の内容はバラエティに富んでいて、考課要素で言えば、「業績・能力・情意」といったトラディッショナルなものから、人材育成を単独の考課要素として取り入れたものまで様々です。

 かつてほど「コンピテンシー」ということは言われなくなったと聞きますが、こうしてみると「行動評価」として定着している企業には既に定着していて、全体的に見ても、「業績・能力・行動」が3大考課要素とみていいのではないでしょうか。

 「能力」の部分は、例えば「課題解決能力」など、業務遂行の過程で実際に顕在化した能力を見るようにしている傾向が窺えますが、プロセスという意味合いにおいて、行動評価(行動プロセス評価)と統合しているケースもあります。

 考えてみれば、「コンピテンシー」の本来の意味は(人格に近いところでの)「能力」という意味であり、米国などでは主に採用や昇進・配置のアセスメントとして使われていたのが、日本においては人事考課に用いられるようになり、そのため「そうした行動をとる人格かどうか」ということではなく、「期間中にそうした行動がみられたかどうか」に着眼するようになったと思われます。

 結果として、「コンピテンシー」とう言葉を使わずに「行動評価」という言葉を用い、一方で(本来はコンピテンシーと意味合いがダブる)「能力評価」の領域は残されていて、かつての「業績・能力・情意」のうち「情意」の部分が「行動」に置き変わったものが、今のところ日本的スタンダードになっているような印象を受けました。

 日本経団連版も労務行政版も価格的には安くはありませんが、きちんと利用すれば元は取れると思われ、個人的には、とにかく多くの企業事例を見たいのであれば日本経団連版がいいのかもしれませんが、労務行政版でも人事考課制度の傾向は掴むことが出来、実際に企業内の実務担当者やコンサルタントが人事考課制度の設計や考課者研修をする際には、労務行政版の方が参考になるのではないかと思います。

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"自己啓発本"ではなく、人事制度に関する基礎知識を得るためのオーソドックスな入門書。

こうすればあなたの評価は上げられる2899.JPGこうすればあなたの評価は上げられる.jpg 『こうすればあなたの評価は上げられる―人事制度から読み解く』(2009/04 ダイヤモンド社)

 トータルな意味での人事制度の入門書であり、企業理念と人事制度の関係から始まって、経営計画・人件費予算と人事制度、職種と人事制度、社員モチベーションと人事制度、人材構成と人事制度の各関係を、章ごとにそれぞれ事例などを織り込みながら、分かり易くコンパクトに解説しています。

 テーマ(章)ごとに、「人事制度を読み解く考え方」「自社の人事制度を理解し行動するためのポイント」という節があり、一般社員の側から見た解説がされていますが、これも、社員側・会社側どちらからの視点でも読めるものであり、実質的には、何か突飛な秘策のようなものが明かされているというよりは、それまでに述べたことを踏まえ、より掘り下げた解説がされている箇所とみていいでしょう。

 会社で働く人間が自社の人事制度のことをよく理解しておくことは大事ですが、自己啓発本のようなタイトルとは異なり、その内容はかっちりしたもので、いかにも「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」という感じであり、むしろ人事部初任者の入門書といった感じでしょうか(このシリーズはどれも、オーソドックスな入門書みたいな感じのようだが)。

 巻末には、資格等級制度、人事考課制度、報酬制度、人事異動・配置に関する仕組み、人材育成制度、就業体系、福利厚生制度、退職金制度など、具体的な制度の中身人事の解説があり、その中で更に、複線型人事制度とか社内公募・社内FA制度、カフェテリアプランなどが解説されていて、人事制度の入門書としては実にまっとう。

 「評価が上げられる」かどうかはともかく、人事制度についての一般的な基礎知識が偏りなく得られる本です。
 そうした意味では、人事の仕事をしたいと考えている人向きか。それでは読者ターゲットが限定されると考え、版元がこうした"自己啓発本"っぽいタイトルを付けたんだろなあ(評価は、タイトルずれで星半個マイナス)。

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人事評価の参考書であるとともに、職場マネジャーに組織・部下マネジメントに対する意識を促す内容。

マネジャーのための人事評価実践.jpg 『マネジャーのための人事評価実践―"査定"のための評価から"職場マネジメント"としての評価へ (SANNOマネジメントコンセプトシリーズ)』 (2009/09 産業能率大学出版部)

 本書はマネジャーや人事・教育担当者向けに書かれた人事評価の参考書ですが、マネジャーには「部下を動機づけ、その能力開発を図り、恒常的に成果を創出できる職場を築いていく」使命があり、人事評価も、単に"査定"のために行うものではなく、「職場マネジメント活動の一環として実施されるべき」である、という考え方が貫かれているのが特徴です。

 本書では、マネジャーが行うべき評価を、査定のための「人事評価」、部下の成長を支援する「フィードバック」、職場の成果を向上させるための「マネジメント活動の評価」の3つに大別しています。

 全5章から成り、第1、2章で、「人事評価」のしくみと考え方、その運用原則や留意点などについて、基本的事項を押さえた解説がなされており、ここまでは、人事評価についての一般的な参考書と内容的に重なる部分も多いかと思われます。

 第3章では、「人事評価」の実際の進め方について、第4章では、「フィードバック」の進め方について書かれていますが、ともに、マネジャー自身が自分の評価能力やフィードバック能力を向上させるにはどうしたらよいかという視点からの解説となっています。

 第5章の「マネジメント活動の評価」とは、職場マネジャーが自らに対して行う自己評価をさしています。期首及び期中にそれぞれマネジャーが行うべき「マネジメント活動の評価」について解説されていて、具体的には、「職場ミッションを部下と共有したか」「進捗管理はできていたか」などのチェックポイントが掲げられています。

 本書が前提としている、職場マネジメントが機能していない状態で実施される人事評価は、部下にとってもマネジャーにとっても決してよいものにはならず、優れた人事評価は優れたマネジメントなくしてあり得ないという趣旨はまさにその通りであり、それにはまず、マネジャー自身に、自らの職場マネジメントの課題への気づきを促すことが肝要でしょう。

 本書は、全体としては人事評価の参考書の体裁をとりながら(評価のためのガイドブックとしての要件を満たしながら)、中盤から後半にいくほど、評価者である職場マネジャー自身の部下指導のあり方や、職場マネジメント全般に対するセルフチェックを促すものとなっているわけですが、確かにそれらは、評価テクニック以上に重要なことなのだろうなあと思わされました。

 全体を通して分かり易い言葉で書かれており、評価シーズンを前に、職場マネジャーが査定のための参考書として読めば、本人の評価能力やフィードバック能力の向上に繋がるとともに、マネジャーとしての組織・部下マネジメントに対する意識も高まるという、相乗効果の期待できる本であると思います。

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評価者向きだが、考課者研修を実施する際の参考書としても"使える"本。

人事評価者の心構えと留意点.jpg 『人事評価者の心構えと留意点―現場での悩みを解消する』 (2008/04 生産性出版)

 部下をどのように「評価」すればよいのか、失敗しやすい留意点は何か、評価シートはどう記入すればよいのか、その具体例はどんなものか、どのようなフィードバックをするのが望ましいのか、その準備と方法は...etc.について、評価者の目線に立って、その心構えと留意点について纏めた本。

 一見地味な内容ですが読みにくくは無く、181ページというページ数も手頃です。
 それでいて実務に沿ったかっちりとした内容であるため、1次評価者や2次評価者である現場の部・課長が読んで得るものは多いかと思います。
 また更に、(表題のテーマの範囲内で言えば)人事担当者のテキストとしても過不足の無い内容にのように思いました。

 人事評価の概要、人事評価者の心構え、人事評価者の留意点、フィードバック面接と留意点のそれぞれについて、各章ごとにきめ細かくステップを踏んで解説されていて、評価結果の現われ方(例えば1次評価と2次評価が乖離がしているような場合)などに対する注意点についても書かれているのが丁寧です。
 
 絶対評価を相対的に調整していくというスタンダードな考え方をベースに、考課制度策定の技法論はシンプルにとどめ、まさにタイトル通り、評価者の「心構え」と「留意点」に多くのページを割いています。

 そうした意味では、コンサルタントや人事担当者の立場からすれば、「考課者研修」を実施する際の参考書として"使える"本でもあります。

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シンプル・イズ・ベスト。制度コンサルティングの初学者にはうってつけのテキスト。

続・中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング.jpg続・中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング―制度設計の手法をすべて見せます! (アスカビジネス)』(2009/07 明日香出版社)

 '06年刊行の『中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング』の続編、と言うより"改訂版"に近い内容ですが、シンプルによく纏まったテキストで(全体で約160ページ)、コンサルタントに限らず、中小企業の人事担当者でも読める内容です。

 冒頭で人事制度・考課制度の現状と問題点を解説し、以下、賃金・等級・評価制度の設計の進め方の基本をコンパクトに解説、賞与制度・退職金制度にも触れていますが、ここまでで67ページしか使っておらず、後半の約90ページは、新人事制度の実例と、就業規則及び諸規程(賃金規程・退職金規程・育児介護休業規程・旅費規程)のサンプルや届出書式集になっています。

 冒頭で職能資格制度の考え方や留意点に触れていますが、実際の制度設計の進め方に関する章(第2章「新制度設計コンサルティング)で解説されていたり、制度事例として取り上げられているものは、「職務グレード制」乃至「役割グレード制」です。

 賃金分析の手法や範囲給の設定の仕方など、制度設計コンサルティングの"手の内"を分かり易くオープンにしている姿勢に好感が持て、図表を効果的に用いているため、少ないページながらも、イメージが掴み易いものとなっています。

 考課制度も、業績評価と行動評価(又はコンピテンシー評価)の2本立てで、それぞれ評価シートのサンプルが掲げてあり、賞与については、ポイント制賞与制度の基本的なパターンを、退職金については、「中退共」や成果型退職金制度を解説しています。

 後半、規程例に多くのページを割いているのは、一見やっつけ仕事のように見えますが、実務対応の観点からすればむしろ親切であると言え、その前に、新人事制度の実例として、等級・賃金・評価などの諸制度の運用規程が掲げてあるのも丁寧。

 ある程度の経験を積んだコンサルタントにはやや物足りない面もあるかと思いますが、制度コンサルティングの初学者にはうってつけの本だと思います。

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職能主義との対比での役割主義に基づく解説。実務者の要求に応えて余りある内容。

目標管理と人事考課15.JPG目標管理と人事考課.jpg        役割業績主義人事システム.jpg
目標管理と人事考課―役割業績主義人事システムの運用』['07年] 『役割業績主義人事システム

 タイトル通り、目標管理と人事考課がテーマの実務書ですが、全3章構成の第1章で人事制度の基本から運用形態までを解説していて、職能制度の限界を説くとともに「役割業績制度」というものを提唱しており、この部分は著者の前著『役割業績主義人事システム』('05年/生産性出版)の"復習"であるとも言えますが、前著を読んでいない読者にも分かり易い(同時に詳しい)ものとなっています。

 「役割主義」「役割等級制度」と一般にと呼ばれる人事・等級制度に基づく目標管理の在り方や人事考課の実際について書かれた本としては最も明解かつ精緻に書かれたものであるばかりでなく、他の社員格付け制度をベースに書かれたものを含めても最上位の内容レベルであるように思われました。

 とりわけ第2章の「目標管理」に関しては、その本質、目標設定のポイント、目標達成度の把握と評価のポイント、目標管理の推進の実際、運用の実際といった順で丁寧に解説されていて、例えば、「職種による目標設定のポイント」として、営業職、生産職、調達職から研究開発職、企画管理職、一般事務スタッフまで6つの職種に分けて、それぞれにおいて効果的だと考えられる目標管理のポイントを多く掲げ、人事部を常に悩ます間接部門の目標管理と人事考課の問題に対する解決への選択肢乃至はヒントを示しています。

 第3章の「人事考課」についても、まずその本質論を分かり易く丁寧に解説し、その上で実際論に入っていて、フィードバックのポイント解説も丁寧です。
 考課表のサンプルをずらずら並べるような類書とは異なり、どこを見るのか、何を見るのか、何で見るのか、どう見るのかということが、ひとつひとつ言葉と概念図でもってきっちり解説されています。

 全体を通して、例えば職能主義と役割主義の考課体系の違いを図に示すなど、役割主義に対する理解を促すために職能主義を引き合いにし、まず職能主義だとどうなるか、それが役割主義だとこうなるかといったパターンでの解説の仕方が多くされているため、「役割(業績)主義」というものの本質を目標管理や人事考課の在り方から再確認できる本でもあり、その意味では実務者の要求に応えて余りある内容と言えるかも。

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目標管理制度も、最後は「上司力」に依るところが大きいということなのかもしれない。

できる上司の「面談力.jpg  『できる上司の「面談力!」』 (2006/02 すばる舎)

業績評価.jpg 「目標管理制度」を「制度」としてだけ導入しても、設定された目標の内容やレベル、評価のあり方等についてスタッフの充分な理解が得られていなければ、運用に際して支障をきたすというのはよく言われることです。

 本書は、部下に対し行う1対1面談について書かれていて、ここで想定している「面談」とは、そうした「目標管理」に関わる面談(目標設定面談、進捗状況の確認面談、評価のフィードバック面談)のほかに「キャリア」面談が含まれています。
 そして、面談においていきなり本論に入るのではなく、導入においての投げかけを工夫し、また面談目的を明らかにすること、さらに本論においては、会社の方針や現状を理解させ、部下の本音を聞きだすことなどが大事であるとしています。

 目標設定面談において大切なのは部下の「納得感」であるとしており、目標の根拠(会社の経営状況・基本方針)を示し、達成の必然性(部下への期待・目標数値・副次成果)、活動計画(概要の把握・活動内容の明確化・結果イメージ)を理解させよと。

 著者はベテランの教育・キャリアコンサルタントで、書かれていることはオーソドックス、事例も含め全体にごく簡潔にまとまっており、さらさら読める分物足りなさもありますが、忙しい中間管理職が手引きとして読むには手頃かもしれません。
 本書にある「部下の話を聴く」姿勢というのもつい忘れがちですし、間接・支援部門においては「数値化しにくい目標」をどう明確化するかということも重要なことだと思います。

 ただし、〈キャリア〉面談ということになると、日常の相互の意思疎通の度合いもうまくいく・いかないを別ける要因となるのではないでしょうか(個人的には、直属上司が行うのが必ずしも良いとは思わない)。
 いきなりストレスを抱えていないかなどと訊かれても、答えるスタッフもいれば何も言わないスタッフもいるでしょう。。

 「目標管理制度」が、最後は「上司力」「面談力」に依るところ大なるものがあるというのは、避けられないことかも知れないと思いました。

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さまざまな業種の考課フォーマットの事例が掲載。参考例として使えるものもあるかも。

社員の業績評価を正しく行なう手順.jpg 『新版 社員の業績評価を正しく行なう手順』 (2003/10 中経出版)

  〈業績評価〉と言うよりも〈人事考課〉制度全般について、考え方から運用上のポイント、制度の組み立て方や、評価表の作成と記載手順、考課者としての注意点などがオーソドックスにまとめられれています。

2791489497.jpg 人事考課は(1)業績考課、(2)意欲・態度考課、(3)能力考課の3つから成るとし、ベースになっているのが職能資格制度であるようなので、後半では業績重視へ転換とその方法を説くものの、全体的にはトラディッショナルな考え方に基づく解説書という印象でした。
 出版は'03年ですが、'96年に出たものの改訂版であることが影響しているのかもしれません(依然、縦組みだし...)。

 コンピテンシー評価についても最終章で触れてはいますが、評価よりも教育に活用しようという考え方です。
 しかし、これはこれで今でも1つの考え方として通用するかと思います。
 自分自身も、コンピテンシー評価を導入したところ、業績評価でのマイナスをカバーし、全体評点を上方修正するために使われてしまったというような例をみたことがあり、評価として用いる場合、難しい面もあることを感じたことがあります。

 本書にはさまざまな業種の考課フォーマットの事例が掲載されていて、場合によってはすぐにでも参考例として使えるもののあるかと思います。
 実務者が考課フォーマットを新たに作成しなければならない状況になった場合、これらの中に自社に適合するタイプ(或いは近いタイプ)を見つけることができるかもしれません(自分の場合がそうでした)。

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目標管理の本質を理論的に解説。制度導入の際の心構えの書としても読める。

目標管理2.jpg 『新版 目標管理の本質―個人の充足感と組織の成果を高める』 (2003/04 ダイヤモンド社)

ビジネスシーン 10.jpg 目標管理について書かれた実務書といえば、まず目標管理とは何かという話が序章にあって、導入方法やシートの作成方法などが述べられていたりするのですが、本書は、その「目標管理とは何か」ということにほぼ丸々1冊費やしており、そうした意味では、タイトルに沿った理論書です。内容の堅さはありますが、成果主義に対する批判のなかで目標管理こそ元凶ではないかという声もある中、今一度その本質を理解しておくことは意味があるのではないかと思われます。

 本書で言う目標管理は、ドラッカーの提唱したMBO(Management By Objectives And Self-Control)の考え方に準拠していて、著者は彼の経営思想に沿って企業の目的や社会的責任とは何かということから説き起こし、企業は「共生の価値観」に基づく人間集団であって、マネジメントとは「人と仕事を結びつけること」であると。ならば、MBOとは「チャレンジ目標」を手がかりとしたマネジメントであり、そのことを前提に、By Objectives の意味は何か、And Self-Control をどう解釈するかなどを述べています。

 本書の中核は、「チャレンジ目標」と「セルフ・コントロール」こそ「MBOの基本原理」であることを述べた第6章ではないかと思いますが、そこで著者は、「チャレンジ目標」を設定することの意義を説き、それがノルマ管理と同じにならないようにするには「セルフ・コントロール」されていることが条件であると。「セルフ・コントロール」には内発的動機づけが必要であるとし、そのためのアプローチとして、自己実現欲求の喚起、責任感の醸成、チャレンジ目標の納得設定をあげています。

 著者はそのためのコミュニケーション・コストの増大は覚悟せよ!と言っていますが、個人的にも、このあたり(とりわけ目標設置の「納得性」)がMBOの成否を決めるのではないかと思われ、最終的には著者の言うように、人間関係を円滑化するコミュニケーションがベースになければならず、「聴く姿勢」を持つことなどを通しコミュニケーション・ギャップを解消していくことで、問題解決型コミュニケーションが促進されていくということだと思いました。システムだけ作って「はい、終わり」ではダメで、結局は個々の人間同士の関係性の問題に行き着くのだなあと改めて思いました。

 目標管理というものの基本を押さえるほかに、導入する際の心構えとしても読め、巻末近くでは、MBOと経営戦略の結合、人事評価との関連についても述べられていて、経営・人事戦略におけるMBOの位置づけを再認識するうえでも参考になります。

《読書MEMO》
●「By Objectives」...目標による管理→「チャレンジ目標」を手がかりとしたマネジメント(24p)
●他律統制マネジメント、「人間関係論」の限界→MBO「And Self-Control」
●専門知識活用型マネジメントの押さえどころ→セルフ・コントロールによる「専門能力の開発」、「アメとムチ」に代わる「内なる力」による動機づけ(43p)
●「自己実現欲求の喚起」によるセルフ・コントロール(83p)...ドラッカーはの「Ⅹ理論・Y理論」批判(「Y理論」は楽観的過ぎるとドラッカーは批判)。著者「Y理論の弱点を克服し、Y理論によるマネジメントを機能させることは可能」(93p)
●「チャレンジ目標の納得設定」によるセルフ・コントロール(104p)...目標の「意味づけ」と「見通しづけ」による納得、「上位計画の共感的理解」による納得、「目標達成の見通しづけ」による納得

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豊富なサンプルは、目標管理シート作成の参考になる。

目標管理の考え方・進め方・強め方~1.JPG目標管理.jpg目標管理の考え方・進め方・強め方―業績アップと適切な人事考課の実現!』 〔'03年〕

 本書の冒頭で、目標管理とは何かについて触れられていますが、ピーター・ドラッカーが開発したマネジメントとしての目標管理(MBO)は、「目標を管理する」と言うよりは、「目標により管理する」ということであり、「目標による経営」という意味合いのものであることがわかります。  
目標.jpg
 著者によれば、多くの企業で導入されている目標管理には、実質的に2つの側面があり、1つ目は「人事考課に連動させ、賃金や賞与といった処遇面での評価の手段として取り入れる」、すなわち「人事考課制度のサブシステムとしての側面」と、もう1つは「会社と働く社員の成長発展に向けて望ましい目標を設定し、達成に向けて進捗管理し、評価の時点では次の成長発展に向けてのさらなる目標に結びつける」、いわゆる「経営管理システムの側面」です。
 
 どちらが欠けても目標管理は成立しないわけで、こうした前提を常に意識しておかなければ、例えば経営トップの目標と社員の目標に、その方向性においてズレが生じるといったことが起こるのだろうと思います。
 
 本文は「理論編」、「導入編」、「推進編」、「運用強化」から成りますが、「推進編」を中心に、目的別の目標管理シートのパターン例が、記入要領と併せて豊富にとりあげられています。
 実務担当者が目標管理シートを作成・改定する際の参考になるかと思います(ただしコピーしてそのままは使うことはできません)。

 こうしたシートのサンプル集は(本書掲載のものはパターン例であって実際の使用例ではないが)、経済団体などからも出版されていますが、価格的にはずっと割高であるため、個人で手元にそうした事例集があれば便利だろうなあと思われる人には、手頃な1冊だと思います。

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評価される側にすれば、この本で"勝つ"のは難しい?

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"人事評価"に勝つ!』 宝島社新書 〔'02年〕   人事評価に勝つ.bmp

 著者は目標管理・人事考課の専門家であり、本書では人事評価に派生する様々な問題を具体的にとり上げていますが、これは企業で人事評価に携わる人が、自分自身が留意すべき事柄をチェックする用にも使えると思いますし、人事部サイドで考課者訓練を実施する際の参考書としても使えると思います。
 事実、本書は著者が実施した考課者訓練(考課者研修)を素材にした事例が多いようです。

 でも、ここで1つ一般読者の立場で疑問に思うのは、考課者研修に参加するのは主にマネージャーはないかということです。
 マネージャーにとっての「紙上考課者訓練」的意味合いは本書にはあるかと思いますが、評価される側の一般社員にとっては、「ウチの会社の管理職にも、これぐらいキチンと考課者研修を受けさせてくれよ」という感想に止まるかも。

 事実、実際に評価される側の一般社員がとることが出来る対応策として本書にあるのは、
  「上司との充分な話し合いを」
  「自らの働きぶりをPRせよ」
  「人事部門に見直しを提案しては」
  「自分を腐らせず仕事に取り組む」
 といった類のものが多くなっています。
 こうしたアドバイスだけで"勝て"と言われても...。
 
 会社や上司の行う人事考課に"勝つ!"つもりで本書を買った人には、ややフラストレーションの残る内容だったかも知れません。

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コンピテンシーをベースとした「評価シート」の具体的モデルを示す。

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コンピテンシー戦略の導入と実践~1.JPG

コンピテンシー戦略の導入と実践―会社を強くする人材マネジメント』['00年/かんき出版] 

 コンピテンシーをベースとした評価制度の設計が中心で、その他に業績評価の方法や基本給の設計方法にも触れ、米国型のベースサラリーの作成方法なども紹介しています。

コンピテンシー.jpg  本書によれば、コンピテンシーモデルの作成方法には、
  ・ハイパフォーマーへのインタービューなどを通してオリジナルで作成する方法
  ・既存のモデルを利用する方法
の2つがあるということです。個人的には、
  ・ボトムアップ方式
  ・トップダウン方式
 というように解していましたが、本書を読んで、ほぼ同じことを指しているのではないかと納得しました。

 著者の考えは、例外的な場合を除き後者の方が、つまりモデルを用いる方が現実的ということですが、個人的にはほぼ同感です。

 コンピテンシーモデルは、本来は職務・職位別に検討されるべきで、本書では25項目のコンピテンシーを挙げるとともに、それをどういった職務・職位で用いるべきかを示しています。
 さらに評価シートの事例を、営業、生産、研究開発、人事、総務、財務・経理、経営企画、顧客サービスなど11職種×3職位(一般職、監督職、管理職)=33通り例示していているのが、本書の大きな特長です。

 一方、各コンピテンシーのレベルを8段階に分けていますが、これを見ていると評語の内容が抽象的で、著者の説に従えばコンピテンシーとは具体的な"スキル"に近いものであるはずなのに、これでは職能資格制度が陥った失敗を繰り返しそうな感じがしないでもありません。

 それでも、単に抽象的な理論説明に止まらず、「評価シート」の具体的モデルを示していることは評価できるし、自社のコンピテンシーモデルや評価シートを作成する際の参考になるかと思います。

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