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事例が豊富で「働き方改革」を(問題点を含め)具体的にイメージするうえで示唆的。

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御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社 (PHP新書)

 政府の働き方改革実現会議で有識者議員を務めた著者は、「見せかけの働き方改革では社員は疲弊し、生産性は落ち、人が辞めていく」とし、真の働き方改革とは言わば「会社の魅力化プロジェクト」であって、それは経営改革であり、「昭和の活躍モデル」からの脱却なのだとしています。

 第1章「働き方改革はどうすれば成功するのか」では、今「働き方改革」が叫ばれている背景を探るとともに、いち早く働き方改革に着手した企業の成功の要因を分析し、働き方改革とは実は企業が生き残るための競争戦略であり、イノベーションの源泉なのだとしています。

 第2章「先端事例に『働き方改革』実際を学ぶ」では、働き方改革先進企業では、改革を経てどのような変化が起きたのか、大和証券における子育て社員の活躍、アクセンチュアにおける職場の雰囲気改善と業績アップ、サイボウズにおける「働き方を選べる」制度による離職率の低下、リクルートによるテレワーク導入による仕事の質の向上、カルビーにおけるダイバシティ経営戦略による低迷商品の売上V字回復などの事例を紹介しています。

 第3章「現場から働き方をこう変える!」では、テレワークやITを使ったスケジュール・タスク共有、イクボス宣言など、現場で実践できる働き方改革の試みを紹介しています。アンケート調査の結果、効果があった効率性の高い施策の第1位が「PC強制シャットダウン」で効果率は100%、一方、ほとんど効果がなかった施策の第1位が「社内パンフレット、イントラ、掲示物による長時間労働是正の啓発」で効果率5%だったなど、大事なのは「強制」で、「啓蒙」だけでは効果がないことを具体的に示しているのが示唆的です。

 第4章「なぜ『実力主義』の職場はこれから破綻するのか」では、第1部で、霞が関の官僚たちが働き方改革に立ちあがったことを紹介し、第2部で、大手マスコミは働き方を変えられるかを、テレビ局と新聞社に勤務する4人の女性記者たちの覆面座談会形式で論じています。とりわけ後者の座談会から、マスコミの現状は旧態依然としたものであることが窺えましたが(TVのワイドショーで働くママの企画を出すと「おばあちゃんたちは働く女の人が嫌いだから」とはねられ、こうして「子育ては女性がするもの」と言う固定観念が番組を通じて広まっていくというのにはナルホドなあと)、こうした霞が関やマスコミのこれまでの「(長時間労働できる人のみの)実力主義」はこれからなぜ破綻するのかを探っています。

 第5章「『女性に優しい働き方』は失敗する運命にある」では、働き方改革で、子育て中の「制約社員」が活躍できる環境を整えても、やはり女性社員が辞めていくのはなぜか、なぜ管理職になりたがらないのかについて、「資生堂ショック」「マミートラック」問題についての考察と併せて分析し、女性リーダー育成のためのユニークな試みを紹介しています。

 第6章「社会課題としての長時間労働」では、長時間労働の是正で少子化に歯止めがかかると考えられることを統計的に示し、さらには、父親の育児参加で国の競争力も上がるとしています。また、地方企業や中小企業も、働き方改革で驚くほど人材が集まるとしています。働き方改革が少子化改善や地方創生にも効果を発揮することが分かってきたということ、つまり、働き方改革は社会も変えるというのが著者の考えです。

 最終の第7章「実録・残業上限の衝撃 『働き方改革実現会議』で目にした上限規制までの道のり」では、著者が参画してきた「働き方改革実現会議」の実態をレポートしています。

 安倍首相の私的諮問機関である「働き方改革実現会議」のメンバーであるジャーナリストによる著書ということになると、先進事例に傾きがちで綺麗ごとばかりの内容ではないか(?)との危惧も無きにしも非ずでしたが、働き方改革が進まない風土についても、目をそらすことなく取り上げています。働き方改革を、第1次均等法(女性のみ)、両立支援(女性のみ)に次ぐ、女性活躍推進の第3ステージ(男女)として捉えている点が、特徴的であるとともに、たいへん示唆的であるように思いました。「働き方改革」というものについて、キャッチ先行で具体的なイメージが今一つ湧かないというビジネスパーソンも少なからずいるかもしれませんが、本書は施策や制度について多くの事例が挙げられているため、そうした漠たる状態から一歩抜け出すにはいい本だと思います。

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